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テパネカ王国の遺跡を発見、メキシコ 

 メキシコの首都メキスコシティで、15世紀に滅んだテパネカ(Tepanec)王国の遺跡が発見された。現場からは、子ども11人を含む17人分の人骨が出土し、約700年前に全盛期を迎えた王国が商業都市を築いていた証拠と考えられている。 

メキシコシティで発見されたテパネカ(Tepanec)王国の遺跡。調査を指揮した自然人類学者ホルヘ・アルトゥーロ・ タラベラ・ゴンサレス氏がブラシをかけているのは、生まれたばかりの赤ん坊を抱いた女性で、出産後に死亡したらしい。 
Photograph from Cortesia/INAH/RML/AP 

 発掘現場はメキシコシティ北西部のアスカポツァルコ(Azcapotzalco)行政区。発掘プロジェクトはアパート 建設の事前調査として2カ月前に開始。多数の人骨や陶器が見つかり、ほとんど未解明だったテパネカの宗教観を知る手掛かりになると期待されている。 

 アスカポツァルコ行政区は、約700年前にはテパネカ王国の豊かで有力な首都が置かれていた。メキシコ 国立人類学歴史学研究所(INAH)によると、今回の出土品から、商業が栄えて人々が集まり、宗教儀式も 催されていたと推測できるという。 

 写真は、調査を指揮したINAHの自然人類学者ホルヘ・アルトゥーロ・タラベラ・ゴンサレス(Jorge Arturo Talavera Gonzalez)氏。ブラシをかけているのは、生まれたばかりの赤ん坊を抱いた女性で、出産後に死亡したらしい。 

 全員の死因を突き止めるにはさらなる分析が必要だが、一部の頭蓋骨に開けられた穴は人身御供の可能性を示唆している。人骨の周囲には、祭壇や陶器、儀式用の品々も埋められていた。 

「3個見つかったカップには、焼かれた人間の頭蓋骨が入っていた。非常に興味深い」とゴンサレス氏は語る。2個はリュウゼツランを原料とした乳白色で粘りがある酒「プルケ」用のようだが、三脚付きカップの用途はわかっていない。 

 子どもの遺骨の脇には、楽器やお椀、香炉、動物など、来世へのお伴としたものと推察される副葬品が埋められていた。 

 1つの墓からは犬の遺骸が発見されており、死後の世界を旅する主人のパートナーとして生贄にされた可能性が高いという。 

 テパネカ王国については考古学的な研究がほとんど進んでいない。アリゾナ州立大学(ASU)の人類学者 マイケル・スミス氏は、2つの理由を指摘する。彼らは「メシーカ(Mexica)」という部族を圧政的に支配していたが、後にメシーカがアステカ帝国に発展、テパネカ王国を滅ぼした。「その後アステカは、意図的に歴史からテパネカに 関する記述を削除した」。 

 また、テパネカの都市は大半がメキシコシティの地下に埋まっており、発掘調査が困難だという。 

Catherine Zuckerman/National Geographic News August 1, 2012 



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