1


1: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/04/11 12:44:00
『竹取物語編』

おじいさんが山へ芝刈りに行った時のこと・・・
枯れ枝を集めていましたが、今日はあまり見つかりません。
しょうがなく奥へ奥へと森の中を進みます。
何時間歩いたでしょうか。
ふと気づくと、竹林の中におじいさんはいました。
おじいさんは、遠くに灯りが見えるのに気づきました。

2: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/04/11 12:44:00
近づいてみると、なんと竹の一部が光っています。
おじいさんは光る部分より上のところを切りました。
切った瞬間に、光に包まれたおじいさん。
そして竹の中を見てみると、小さな赤ん坊がいました。
おじいさんは、赤ん坊を抱えると、道に迷っているにも関わらず、
すぐに家に帰りました。

しかし、これはおばあさんのトリックだったのです。

3: 名無しのオプ 2003/04/11 13:25:00
おじいさんが山へ芝刈りに行った時の【こ】と・・・
枯れ枝を集めていましたが、今日はあまり見つかりません。
しょ【う】がなく奥へ奥へと森の中を進みます。
何時間歩いたでしょう【か】。
ふと気づくと、竹林の中におじいさんはいました。
おじいさ【ん】は、遠くに灯りが見えるのに気づきました。


近づいてみると、なんと竹の一部が光っています。
おじい【さ】んは光る部分より上のところを切りました。
切【っ】た瞬間に、光に包まれたおじいさん。
そして竹の中を見てみると、小さな赤ん坊がいました。
お【じ】いさ【ん】は、赤ん坊を抱えると、道に迷っているにも関わらず、
すぐに家に帰りました。

4: 名無しのオプ 2003/04/11 23:35:00
>>3

殺人事件だったのか…

5: 名無しのオプ 2003/04/12 13:33:00
>>1は続きを書かないの?

6: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/04/16 21:39:00
続きって・・・

推理してって言ってるのに・・・

7: 名無しのオプ 2003/04/17 12:32:00
解くべき謎がない

8: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/04/17 12:54:00
>>7

あぁ、そういうことね。
おとぎ話をおとぎ話としてしか
受け取ってもらえなかったわけか。

竹から子供が産まれるわけはないし、
そこが光っているなんてわけわかんないでしょ?

これを謎解きしてほしかったのだが・・・
レスが付かないようなら
頃合いを見計らって削除依頼だしとくよ。

9: 名無しのオプ 2003/04/17 15:17:00
それを解こうとすると、ミステリーじゃなくてSFになっちゃうってばさ。

11: 名無しのオプ 2003/04/17 23:33:00
枯れ枝が無かったのは、前日おばあさんが拾った後だったから、とかいうところから始めるといいのか?

13: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/04/17 23:38:00
>>11
そうですね。
推理すべき点を大きくわけると、

1.おじいさんをどうやって誘導したか
2.竹をどうやって光らせたか
3.赤ん坊をどうやって入れたか
4.おばあさんは赤ん坊をどこから連れてきたか
5.おじいさんは何故すぐに家に帰れたか

というところでしょうか。

12: 名無しのオプ 2003/04/17 23:35:00
宇宙人でしょ。あとからUFOが迎えに来るシーンとかあるし。

14: 名無しのオプ 2003/04/17 23:51:00
時代背景を考えると「2.竹をどうやって光らせたか」なんかは

・ろうそくなどの炎
・蛍、ホタルイカ、光ゴケ、夜光虫などの発光する生物
・ハゲ

あたりに絞れそうだね。
次点として。
・目の玉をぎゅーっておしたと気に見える残像みたいなヤツを間違えた
とか。

15: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/04/17 23:55:00
>>14
そのように時代背景から考えていくと、絞れますね。
レスが進んでいくと、まとまった答えが出ると思いますので、
そうしたら次の謎を提示させて頂きます。
私はしばらく潜伏します。
ミステリー板のみなさん。
良い推理を期待しています。

16: 名無しのオプ 2003/04/17 23:58:00
1.おじいさんをどうやって誘導したか

枯れ枝が落ちているのを追っていったら、奥へ奥へと引き込まれた、ってとこか。

17: 名無しのオプ 2003/04/18 00:02:00
ってか、「おばあさんの犯行と決めつけている」のか、「おばあさんの犯行と仮定して楽しもう」としているのか?

19: 名無しのオプ 2003/04/18 00:06:00
それとなく未完成気味な獣道があればおじいさんはそこを通るだろう。誘導は出来る。
問題は、山に慣れていると思われるおじいさんが迷う理由のほうだ。
しかも、赤ん坊を仕込むにしても、おじいさんが確実に狙ったその日に迷うかどうか。

20: 名無しのオプ 2003/04/18 00:09:00
そもそもどんな犯行が行われたの?
What done it(ホワットダニット?)モノということですか?

23: 名無しのオプ 2003/04/18 00:36:00
>>20
要するにどういうトリックで
赤ん坊を見つけさせたか、ってことだろ?

22: 名無しのオプ 2003/04/18 00:11:00
竹は本物だったのか、検証。

24: 名無しのオプ 2003/04/18 00:39:00
あと、道に迷ってたはずなのに、さっさと家に帰りつけたことかな?

それにしても、1が潜伏ってのが、一番解せないのだが?
もともと解答がある問題なら、それでもいいと思うけど…

27: 名無しのオプ 2003/04/20 16:39:00
つまりあれだろ。よく知られている昔話の文章からどこまで推理を展開できるかって
いう「九マイルは遠すぎる」をやれってことじゃないの?

30: 名無しのオプ 2003/04/23 14:42:00
かぐや姫のおじいさんは芝刈りだったっけ?
桃太郎は芝刈りだったとは思うけど
かぐや姫は最初から竹やぶに用事があったんじゃナイノ

31: 名無しのオプ 2003/04/24 23:42:00
実際の「竹取物語」では
竹切って籠とか作る仕事してんだよ、たしか。

32: 名無しのオプ 2003/04/24 23:47:00
芝刈りに行ったはずなのに、枯れ枝を集めるというのはおかしいぞ。
叙述トリックか?

33: 名無しのオプ 2003/04/24 23:53:00
「柴」刈りだよ

35: 名無しのオプ 2003/04/24 23:55:00
>>33
「芝」は1のミスということで桶?

37: 名無しのオプ 2003/04/24 23:57:00
>>35
ですな

34: 名無しのオプ 2003/04/24 23:53:00
>道に迷っているにも関わらず、すぐに家に帰りました。

「帰れました」ではなく「帰りました」
おじいさんは、なにか超自然の力によって家に誘導されたのではなく、
自分の意図で家に帰ったということだ。
つまりおじいさんは、本当は道に迷ってはいなかった。
しかし地の文に「道に迷っていた」と書かれている。
叙述トリックなら反則なのだが。

38: 名無しのオプ 2003/04/25 00:04:00
疑問点を浮かぶままに列挙しよう。
・竹が光っていたのは何故か?
  赤ん坊が光っていたから? 竹そのものが光っていた?
  切った時おじいさんが光に包まれたというのは?
・竹の中の赤ん坊とは?
  赤ん坊とはいえ、かなりの大きさの竹でないと中に赤ん坊は入るまい。
  胎児? 人間の赤ん坊ではない?

41: 名無しのオプ 2003/04/25 00:23:00
そもそもおばあさんの動機は何なんだ?

45: 名無しのオプ 2003/04/25 00:50:00
あとはせいぜい>>41の指摘するホワイダニットか。

それともおばあさんのトリックというのが、
この話が実はおばあさんの語りで、
それが全部ウソでした、とかいうオチじゃないだろうな。

44: 名無しのオプ 2003/04/25 00:43:00
そもそも>>1がおばあさん陰謀説に限定してしまっているので
推理を巡らすのが困難

45: 名無しのオプ 2003/04/25 00:50:00
>>44
おばあさんがどうやって陰謀を組み立てたか、というハウダニットにしかならないな。

67: 名無しのオプ 2003/04/27 11:26:00
>道に迷っているにも関わらず、すぐに家に帰りました。
一見して矛盾しているように思えるこの文章だが、実はそうではない。
ここでいう「道」とは人生における分岐点のことなのである。つまり、おじいさんは
家庭内に何か悩み事があり、そうしたくない理由があったにもかかわらず家に帰った
。なぜなら子供を見つけたからだ。
このへんにおばあさんの動機がみえてくる。家に帰りたくなかったおじいさんの悩み、
それはとりもなおさず夫婦仲の不和であろう。道に迷っているというぐらいなのだから
離婚も考えていたのではないか。しかしおばあさんはそれをよしとしない。夫婦仲を円滑に
するための潤滑剤の投入を思い立つ。すなわち子育てである。どこかでさらってきた子供を
、何らかの方法で竹の中に入れ、おじいさんにみつけさせる。こうすることで本当の両親
の存在を消し、同時にドラマチックなできごとによって人生に物語性を付与し、倦怠感を吹き飛ばす。
これがトリックを除いた事件の真相である。


                            こんな感じ?
                 

    

70: 名無しのオプ 2003/04/27 12:30:00
人生の分岐点か、これはアリかも?
>これがトリックを除いた事件の真相である。
ワロタ

で、どこを縦読みするんだ?

71: 名無しのオプ 2003/04/27 22:55:00
縦読み?

72: 名無しのオプ 2003/04/27 23:50:00
>>71
つまらない長い文章を書くとこう皮肉られるのさ。

73: 名無しのオプ 2003/04/29 08:51:00
やはり、どうやって竹の中に赤ん坊を隠したのかを推理する必要があると思う。
竹取物語を流水大説の流れに組み込んでしまえば、問題ないわけだが、
それは避けたい。

75: ( ‘∀‘)その1 2003/04/29 10:36:00
この物語において、なぜ老夫婦しか存在しなかったのかを考察する必要がある。

芝刈りをするのだから、この家は農家である。
仮にこれが少なくとも明治以前の日本に伝統的な社会構造を背景とする物語なら、
息子が一人でもいたとすれば、多くは家にとどまり、嫁をもらうはずである。
(京極夏彦「女郎蜘蛛の理」だと時代的・地理的な例外もあるにはあるらしかったが)
それが登場しないのだから、死んだのか、生まれなかったのか、
あるいは例外的に家を出て行ったのか・・・どれかはわからないが、

1の結論:いずれにせよ、この老夫婦の家は先がないものとして設定されていた。

83: 名無しのオプ 2003/04/29 13:16:00
昔々、あるところに浦島太郎というたいそう勤勉でやさしい若者が住んでおりました。
太郎は年老いた母と仲良く暮らしておりました。
ある日、浦島が漁から帰ると海岸で一匹の亀が子供らにいじめられていました。
「こらこら、亀をいじめてはいかんよ。これをやるから亀を許してやってくれないかね」
太郎はそう言うと子供たちに幾ばくかのお金を渡しました。
子供たちは喜んで亀を太郎にやりました。
「もう大丈夫だよ」
太郎は亀にそう優しい言葉をかけてやりました。
「ありがとう浦島さん、お礼に竜宮館にお越しください」
まさか竜宮館で悲惨な殺人遊戯がまっているとは、このときの太郎は
思いももよらなかったのでした・・・

88: 名無しのオプ 2003/04/29 14:18:00
もう次に行ってんのかよ!

89: 名無しのオプ 2003/04/29 23:22:00
自分たちの老後の世話をさせるため、不妊症の夫婦がよその子をさらって、
育てるという動機はありうる。その際、恐れるべきは周囲の人間によって
その事実が、成長した子供に知られることである。恩返しどころか報復を
受けかねない。それを防ぐために、桃から生まれただの、竹を切ったら中
にいただの、神や仏の贈り物であると迷信深い連中に思い込ませようとし
たと思われる。

90: 名無しのオプ 2003/04/29 23:26:00
うむ
納得のいく回答だな
不妊症の隠語が爺、婆だったわけだな

116: 名無しのオプ 2003/05/02 00:30:00
昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
ある日おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが家に帰るとおじいさんはキセルをくゆらせていました。
おじいさんは出し抜けにおばあさんにこう言いました。
「おばあさん、今日は洗濯日和で良かったね。」「えっ」
おばあさんはとても驚きました。なぜならおじいさんは洗濯に行ったことなど
知らないはずなのです。
「初歩的なことだよ、おばあさん。袖がまくったままになっている、つまりこれは
 袖に何かがつくのを避けるためだ。そして君はここに入ってきた時、腰を叩いた
 これは長い時間腰をおっていたからさ。それらを総合すると洗濯に行っていた
 ということになる。」
「なんだ種明かしをされるとたいしたことはないね」
「いつも言っているだろ観察すると見ることは違うとね、で何か事件だね
 その大きな桃はなんだい?」

117: 名無しのオプ 2003/05/02 01:05:00
>>116
こういうの、結構好きだな

118: 名無しのオプ 2003/05/02 01:08:00
>>116
ワラタ(w

128: 名無しのオプ 2003/05/03 21:26:00
で 竹取物語のほうはどうなってんの?

131: 名無しのオプ 2003/05/04 10:13:00
つーか、昔話ってだいたい9割方、宇宙人だろ。

132: 名無しのオプ 2003/05/04 18:24:00
おーい! 1やーい! 戻ってこーい!

134: 名無しのオプ 2003/05/05 11:04:00
どうせオチなんて、最初から無かったんだろ

144: 名無しのオプ 2003/05/15 17:19:00
大きな桃は実はバラバラ死体が尻を上にして流れてきていたのでした。
流したのはもちろん芝刈りに上流の山に入っていったおじいさんです。
おばあさんにはピンときました。
「ふんっ!若い女に入れあげて、孕まして殺して捨ててりゃ世話はない!」
わざわざ死体を桃と間違えたふりをして持ち帰ったのは、おじいさんに
自分は知っているという無言の重圧をかけるためでしたが、中からまだ
息のある赤ん坊が出てきたのには驚きました。しかしながらこの子はまぎれも
なくおじいさんの子。年老いてきた二人は稼ぎ手を得るためにとりあえず
この子を育ててみることにしたのでした。

145: 名無しのオプ 2003/05/15 17:28:00
桃太郎は愛情をかけられずに成長しました。おばあさんはことあるごとに
「あんたには金ばかりかかってしょうがない!」と罵倒しました。
ろくな教育を受けず、頭の弱かった桃太郎が金や宝物に執着するのもこの
ような環境ゆえ仕方の無いことでした。彼は、畑仕事や家事をするだけの
知恵もなく、業をにやした老夫婦に粗末な団子と日本一(の馬鹿)との
のぼりとともに、「町で物乞いでもしな!」と家から放り出されたのです。

146: 名無しのオプ 2003/05/15 17:48:00
桃太郎はおじいさんおばあさん以外の人と接した事がありませんでした。
若い女を拉致しては殺害し、切り刻んで捨てるようなおじいさんと
こんな鬼畜と何年も連れ添ったおばあさんが、普通の人間関係を他者と
結べるはずもなく、彼らは人目をしのび、自給自足の生活をしていたの
ですから。いきなり町に出ても、人はみな異様な桃太郎を避けてとおり、
事情を僅かでも知っている者は遠くからこそこそと言い交わすばかり。
物乞いする知恵もなく、桃太郎は野犬や野猿、きじなどに団子をあたえ
つつぶつぶつと意味の無いことばかりつぶやいておりました。

147: 名無しのオプ 2003/05/15 18:00:00
そのころ町には「鬼」と名乗る略奪団が横行していました。
体の大きい彼らは集団で、金持ちの家に押し込み、金目のものを略奪
しては少し離れた小島を自分達の砦と称して酒を飲んでは乱痴気騒ぎを
日々繰り広げていたのです。ガタイの大きさと徒党を組む事だけが
頼りのDQN達でしたが、町の人々は厄介を恐れて決して小島の周辺には
近づきませんでした。
しかしながら桃太郎は違います。小耳にはさんだ「宝物や金目のもの」
という言葉にひかれて、ふらふらと歩き出しました。
(飢えた犬、猿、きじもついていきました。)

148: 名無しのオプ 2003/05/15 18:13:00
その後のことは詳らかではありません。いつになく静まり返った小島の
砦を不審に思った勇気ある人の見た光景は筆舌に尽くしがたいものでした。
大男たちの体の残骸が小島のあちこちにちらばっており、胴体はことごとく
腹を割かれて内臓が引きずり出されていました。目をつつかれてくりぬかれ
たパーツも、耳をあきらかに歯で噛み千切られたと思しきパーツもありまし
た。そして彼らの略奪した宝物は忽然と姿を消していたのです。

血塗れの桃太郎はおじいさんおばあさんの待つ、あの家に帰ったのでしょうか?
シリアルキラーの血は受け継がれていったのでしょうか?
桃の実に刃を差し入れるたびに、町の人々はこの記憶を反芻し、後世に伝えて
いったのです。

150: 名無しのオプ 2003/05/15 20:19:00
ナイスだ!
っつーかホラーだ(w

168: 名無しのオプ 2003/06/03 03:38:00
「かちかち山」もある意味殺人事件。

お婆さんを殺した後、仇討ちを恐れて他国へ逃げるということもせず
近場でのんびり暮らしていたっぽいタヌキが犯人とは思いにくい。
目撃者もいないし、物的証拠もない(と思う)。
あるのは動機と状況証拠だけ。
これだけでタヌキを犯人と決め付けるのは早すぎる。

疑おうと思えば、お爺さんだってウサギだって怪しいと思われ。

169: 名無しのオプ 2003/06/03 08:13:00
舌きり雀はおじいさんと若い愛人(雀)が結託しておばあさんを陥れた話。
乗り込んでいったおばあさんに慰謝料と見せかけて毒蛇の入ったつづらを
持たせるとか。

170: 名無しのオプ 2003/06/03 20:03:00
左翼市民団体プロ市民が昔話にイチャモンつけまくり。

桃太郎→侵略的、鬼がかわいそう、犬猿雉に報酬払ったのか不明。
    爺さん柴刈り、婆さん洗濯というのは性別による職業差別!

金太郎→子供が巨大な刃物持ち歩くのはよろしくない。

浦島太郎→家を離れると不幸になる、という結末で「家制度」の押し付け

舌きり雀→ 残酷!婆さんに罰が当たるのは女性差別。

鼠の嫁入り→鼠は鼠の嫁になる、という結末は、職の選択の自由を奪い、
      身分の固定につながる。

もうだめぽ・・・

最近では花さか爺さんの話で、
「犬の墓から生えた木を伐り倒して臼を作るのは、自然破壊!」などとして、
木が台風で倒れたことにしてある絵本もあるそうな・・・

173: 名無しのオプ 2003/06/04 12:58:00
>>170
さっきテレ朝で、基地外じみたオッサンがなんか言ってたよ。軽くワラタ。
ネタだと思ったらホントだったなんて・・・

586: 変更投票開始@ローカルルールスレ 2005/03/03 10:36:42 ID:5IweKj4/
>>170
エンタでこんな感じのコントやってたな

女性差別を批判しつつ話が改変されていく
桃から生まれた桃ヌダルク
お婆さんは自分の意志で桃を切ったの?お爺さんの命令なの?とか
鬼(女性を差別してきた男性の象徴)から宝(女性が奪われていた権力)を奪い返した とか


うろ覚えだし亀レスだし話ぶった切りだしスマソ

171: 名無しのオプ 2003/06/03 20:44:00
ところで竹取物語ってミステリっぽくないか?

172: 名無しのオプ 2003/06/03 21:21:00
>>171

最初はその話しだったのだが(w



198: 名無しのオプ 2003/07/07 00:15:00
おじいさんとおばあさんが、子供も孫もいないのに「おじいさん おばあさん」と呼ばれるようになった(さらに、互いに呼び合うようになった)のは、いつからなのだろう?

200: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/07/07 00:35:00
どの昔話でも、おじいさん、おばあさんの容姿については触れられていない。
白髪が何本あるとか、おじいさんの水虫のことや、おばあさんの髭の長さなど。

おかしくないか?

金太郎や桃太郎などのヒーローはきちんと説明されているのだ。
桃から生まれた桃太郎とか、金から生まれた金太郎とか。
絶対おかしい。
なぜ隠す必要がある?
素性を隠すのは、いくつかの理由が考えられる。

①おばあさんは洗濯に行くふりをして、不倫していた
②おばあさんの髭は青かった
③おじいさんは実はおばあさんだった

どれも隠したいことだ。
理由はまあいい。

201: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/07/07 00:41:00
容姿について触れたところで写真が出回るわけでもない。
せいぜい似顔絵が関の山だ。
もし捕まるようなことをしていたとしても
必ず田舎暮らしをしている昔話の老人は見つからずに余生をすごせるはずだ。
しかも余生は残り少ない。
達観していつ死んでもいいとか思う年頃じゃないか?

それが違う。
どの爺婆のみんな子供を欲しがってる。
さらに金も欲しがっている。
おかしい。
強欲すぎる。
実は老人じゃないんじゃないか?
整形手術をして老人に見せかけてるんじゃないか?
だからこそ、自分が老いていることを主張するために
「おじいさん」「おばあさん」と呼び合っているのだ。

これは学会で発表してもいいくらいの結論だ。
むしろ発表すべきだ。
そして次の瞬間に覆されるのが楽しみだ。

202: 名無しのオプ 2003/07/07 00:43:00
「おじいさんは実はおばあさんだった」ってのがイイな。
子供ができない理由になる。
それをネタになんか作れないかな。

203: 名無しのオプ 2003/07/07 22:10:00
「お爺さんは、実はお婆さんだったって?」
「ああそうさ。そう考えたらすべての辻褄が合うじゃないか」
突然なにを言い出すんだこの男は・・・
ここは軽く突っ込んで、次の話題に移った方がいいのか?
「よく聞いてくれよ?つまりね」
うわ、しゃべる気満々でやんの。
「…まてまて、その前に質問だ。お爺さんがお婆さんだったってのは
 どういう意味だ?女二人の夫婦…夫婦ってのも変だな。
 女二人のカップルだったって事か?」
「そう、同性愛者だったのさ」
「OK。わかった。続きをどうぞ」
「どうも、じゃ少し長くなるけど聞いてくれ」



204: 名無しのオプ 2003/07/07 22:11:00
「お爺さんお婆さんが、実は女同士だったとする。
 すると一つの疑問が湧きあがってこないか?
 女同士では子供が出来るはずなんてないのに、
 あの二人は子供を欲しがっている。しかも本気で。おかしくないか?」
「ああ、確かに。言われてみればそうだな」
「結論、この二人は気狂いだった」
「待て!結論急ぎすぎだろそれは」
「ん?そうか?ま、いいや。じゃあもう少し話を聞いてくれよ。
 次の疑問は”光る竹の中に赤ん坊が入っていた”これだ。
 僕が推理するに、これは多分お爺さんの嘘だね」
「だから待て!そんなあっさりと」
「でもキミ、こないだ竹薮に行ったら竹が光っててさー
 切り倒して中を見ると赤ん坊が入ってたんだー。なんて言われて信じる?」
「まさか」
「だろ?だからアレはお爺さんの嘘だったの」
「でもおじいさんが赤ん坊を持ち帰ったのは事実だろ?」

205: 名無しのオプ 2003/07/07 22:12:00
「そう、そこでまた僕は考えた。
 子供が欲しくてたまらない女がいる。
 でも自分が愛せるのは男ではなく女。
 でも子供が欲しくてたまらない。でも子供は作れない。
 そんな時どうするか・・・奪うんじゃないかな。
 ある日お爺さんはやってしまうんだ。
 お婆さんには竹薮に行くと嘘をつき、そのまま山を越え近くの村に。
 あらかじめ目をつけていた妊婦に近づき、草刈のための鎌でガッとね。
 そして腹を割き子供を取り出し家に帰る。
 そこでお婆さんに言うんだ”光る竹の中に赤ん坊が入っていた”ってね。
 多分、その妊婦は妊娠7ヶ月くらいだったんじゃないかな。
 子供は当然未熟児で、太めの竹になら収まりそうな大きさだ。
 お婆さんも信用して、それならと子育てをはじめるんだ」
話を聞きながら背筋が冷たくなるのがわかった。
「で…でも、お婆さんがそんなに簡単に納得するか?」
「だからさっき言ったじゃないか、この二人は気狂いだったって。
 おっと、話はまだ終わりじゃないぞ。もうちょっと付き合ってくれ」

206: 名無しのオプ 2003/07/07 22:12:00
「かぐや姫は成長する。
 小さい頃は疑問に思わなかったけど大きくなって気づくんだ。
 自分の親は二人とも女だ、と。
 そこで彼女は言う。
 ”私は月から来ました”
 二人に遠回しに伝えたんだろうね、
 『私は気づいてますよ、二人が本当の親じゃないという事を』って」
「え?それはどういう…」
「例え話さ。男の象徴を、金色の月に例えたんだ」
「ああ、なるほど」
「かぐや姫はさらに話を続ける。
 ”私は月に帰らなければなりません”
 これは、本当の父親を探しに行くって意味だったんだろうね。
 月からきた従者ってのも、ただの用心棒だったんだと思うよ。
 どうだい?お爺さんお婆さんが女同士だったってだけで
 こんなにも世界が変わるんだ。おもしろいだろ?」


あいつの家から帰る途中、ふと考える。
私は月から来ましたか、か。
ははは、みんなそうじゃないか。
俺も、あいつも、父も、母も、優子も、健二も、
人間はみん月からやって来るんだ。
人類皆兄弟か。まさにそうだ。みんなお月様の子供だ。
にしても、なんでかぐや姫の話なんて始めたんだっけ…
あ、そうか。

今日は七夕。
そらには黄金色の玉が浮かんでいる。

208: 名無しのオプ 2003/07/08 00:25:00
では次は「おばあさんはおじいさんだった」ネタ希望

210: 名無しのオプ 2003/07/08 21:13:00
「お婆さんは、実はお爺さんだったっての?」
「うん、そうだよ。そう考えたらすべての辻褄が合うじゃない」
突然なにを言い出すんだろう、この女は・・・
ここは軽く突っ込んで、次の話題に移った方がいいのかな・・・?
「よく聞いてよ?つまりね」
うわ、しゃべる気満々だし。
「…ちょっと待って、その前に質問。お婆さんがお爺さんだったってのは
 どういう意味?男二人の夫婦…夫婦ってのも変だなぁ。
 男二人のカップルだったって事?」
「うーん、ちょっと違うなぁ。
 この場合は”仲間”と呼んだ方がしっくりくるね」
「じゃあ、べつに同性愛者って訳でもないのね。
 OK。わかったわ。続きをどうぞ」
「どうも、じゃ長い話になるけど聞いてちょうだい」

211: 名無しのオプ 2003/07/08 21:13:00
「お爺さんお婆さんが、実は男同士だったとする。
 そうすると一つ疑問が湧いてこない?
 男同士では子供が出来るはずなんてないのに、
 この二人は子供を欲しがっている。しかも本気で。これっておかしくない?」
「うーん、確かに。言われてみれば…」
「だからね、いろいろと考えてみたの。
 素性を偽り山奥に暮らす男二人が子供を欲しがる理由を。
 そしたらあーた、閃いちゃったよ、あたしってば。
 ずばり言うとね、子供ってのは跡取りの事だったの」
「あととり?」
「そ、跡取り。
 で、素性を隠して山奥に暮らす二人ってのは
 なんちゃら組みの生き残りみたいなもんじゃないかなぁって。
 どこかの町で抗争があって、
 なんちゃら組みは親分子分の二人だけになってしまう。
 俺たちの代で組を潰すわけには行かない!ってんで
 山奥にこもり跡取り探しを始める、みたいな。そんなストーリー」

212: 名無しのオプ 2003/07/08 21:14:00
「次の疑問に行くわよ。
 次の疑問は”光る竹の中に赤ん坊が入っていた”これね。
 これもずばり言うと、暗号だったんじゃないかなって」
「あんごう?」
「そ、暗号。って、さっきもこんな台詞言ったわね。まいいや。
 子供を生んでくれる女を捜しに行ってくるぞ、が
 畑を耕してくる、とか
 ちょっくら種付けしてくるか、が
 畑に種蒔きに言ってくるぞ、とか、そんな感じで。
 残った組の者は二人だけなんだから、慎重になるのも当然といえば当然よね」
「ああ、じゃ、光る竹の中に~ってのは
 ”俺の女が子供を産んだぞ”みたいな事だったのかしら?」
「うん多分。
 そうやってお爺さんは家に赤ん坊を連れ帰りましたとさってね」

213: 名無しのオプ 2003/07/08 21:14:00
「突然だけどさ、あんたかぐや姫のお母さんてどんな人だったと思う?」
「えー、その辺の町の人…じゃないの?」
「あたしは違うと思うな。
 だってさ、あんた突然いかつい親父に『今晩どうだ、ねーちゃんよぉ』
 なんつわれて『ハイ喜んで』なんて返事する?」
「まさか」
「でしょ。だからね、かぐや姫の母親ってのは
 そこで『ハイ』と言えそうな人。
 つまり、その筋の人の愛人さんだったと思うの。
 だから跡取りが出来た後も山を降りずに隠れて暮らしてたと。
 人の女を寝取った上に、子供まで産ませちゃったわけだしね。
 なんだかんだで時は過ぎ、かぐや姫も美しく成長しました。
 町から組の者が来て、いつ連れ戻されるかわからないかぐや姫のために、
 爺さん婆さんは金持ちと結婚させようともしました。
 これには用心の他に、自分の組再建という野望もあったと思うけどね。
 だがしかし、恐れていた時がついにやってきてしまうのです。」
「町の組の者がやってきたのね」
「そう。で、その男は言うわけ
 『あなたは月のお姫様です。お迎えに上がりました』
 かぐやママの元彼は、なんと組長さんだったのです。
 かぐや姫は、とりあえずその場を適当にあしらって家に帰りました。
 そして両親に相談。『私、月のお姫様なんだって』
 それを聞いた爺婆はびっくり仰天。ああ、来たか…って。
 きっと、月ってのがその組を表す紋だったんじゃないかしら。
 もう二人揃ってガクガクブルブルよ」

214: 名無しのオプ 2003/07/08 21:16:00
「うーん、でもさぁ、なんで十何年もたった頃に
 急にかぐや姫を連れ戻しに来たの?それって絶対ヘンだよ」
「そんなの、それこそいくらでも答えがあるわよ。
 美人で噂のかぐや姫という女がいる。
 調べてみると、その女は自分の娘の可能性がある。
 返せ!とか
 月組の跡取りが色々あって全員死亡。
 どうせ組を継がせるなら自分の血がつながった者がいい。
 しらべてみると以下略、とかね。
 話を続けるよ。
 月組親分は、若い衆を引き連れてかぐや姫の家にやってきます。
 『てめえら、うちの姫君を帰しやがれ!』
 そこにすべてを聞いたかぐや姫登場&説得開始。
 『私が目的ならば、よろこんであなたの家に参りましょう。
  だから、どうか両親の命はだけは』
 『おう、かわいい娘の頼みだ。それくらい聞いてやらぁ』
 そして爺婆に別れの挨拶
 『今まで育ててくれて、本当にありがとうございました。
  でも私は月に帰らなければなりません。』
 そしてかぐや姫は泣く泣く月へと帰っていくのでした。
 どう?お爺さんお婆さんが男同士だったってだけで
 こんなにも世界が変わるんだよ。おもしろいと思わない?」

215: 名無しのオプ 2003/07/08 21:18:00
その日の帰り道。目の前を歩く男が一人。
「あ、お兄ちゃん」
「ん?あぁ、なんだ優子か。」
「なんだって何よー」
「悪い悪い。別に変な意味じゃなくてな。
 それよりさぁ、面白い話があるんだけど興味ない?」
「えー、どんなの?聞かせてー」
「んーとな、俺やお前の親父って誰だと思う?」
「なにそれー、お父さんはお父さんじゃないの?」
「ははは、違うんだなぁ。
 いいか?むかーしむかし…」
そこでふと考える。
それにしても、なんでかぐや姫の話なんて始めたんだっけ…
あ、そうだ。

今日は七夕。
そらには黄金色の月が浮かんでいる。

216: 名無しのオプ 2003/07/08 22:53:00
ヽ(`Д´)ノグッジョブあげ

247: かぐや 2003/08/08 00:26:00
どうしてこんな奴らに拾われてしまったのだろう。
竹から産まれたなんて、ハクをつける為の嘘。私はただ、竹やぶに捨てられていただけだ。
確かに私は、養父母に金を与えることができた。それは、産まれ持っての美貌のおかげ。それが無ければ、どごぞの女郎屋にでも売られていたことだろう。
いいえ、売られはしなくとも、している事は同じ。
最初の相手は養父だった。
私の事を「モノになる」と思った養父母は、一時の金欲しさに私を売り飛ばすことはせず、何年にもわたって儲ける方を選んだだけだ。
けれども、私もそろそろ、「商品」としての価値が落ちつつある。どんなに美しくとも、歳はとるのだから。
そこで養父母は、どこぞの金持ちに輿入れさせようとしているらしい。
候補になっている男どもは、嫌な奴ばかりだ。私を金で買うことしかできないくせに。
それに、私には養父母には内緒で、心に決めた相手がいる。
私は、駆け落ちすることを考え始めた。

248: かぐや 2003/08/08 00:42:00
密かに計画していたはずなのに、養父母は勘づいているようだ。
邸内の警備が厳しくなっている。
私は毎日、警備の様子を、こっそり観察した。
やはり、月明かりのない晩の方が、警備が厳しい。私は、それを逆手にとる計画を練ることにした。
決行は、次の満月の夜。そして、養父母にも予告するのだ。
「私は月へ帰ります」
と。
養父母は、それが嘘だとわかっていても、表立って否定することはできまい。
否定は、私がただの捨て子であることの肯定なのだから。
私の伝説が無くなってしまえば、商品価値はさらに下がる。輿入れ先だって、格を落とさざるをえなくなるだろう。
あの養父母は、そんなことはしない。私はそうにらんだ。

249: かぐや 2003/08/08 01:09:00
そして、満月の夜になった。
月は南の空へかかってきた。
もう少し…。
もう少し…。

月が欠け始めた。
警備の者どもが慌て出した。
私は素早く衣を脱いだ。内には前もって、黒い着物を付けておいたのだ。
警備が混乱している隙に、私は邸から抜け出した。
月明かりが戻った頃、皆は私がいないことに気付くであろう。

今晩、月が欠ける事を、私は知っていた。
客の一人である占師が教えてくれたのだ。(その占師は、帝にも仕える程の男であったが、この男の話は、後日するとしよう)

私は自由になった。
愛する人と暮らしていける。
だがこれからは、体を開いても、愛以外は与えてもらえない生活になるのだけは、少々不安だ。

253: かぐや 2003/08/11 00:51:00
私は独りになってしまった。
あの人の元を離れた。
駆け落ちをして、自分が何もできないことに気付いたのだ。
竈の火を起こすことも、洗濯も、水汲みさえもできなかった。
養父母の判断は、ある意味正しかったのかもしれない。
輿入れ先の候補に挙がっていた金持ちに嫁げば、家事などせずとも暮らしていけた。
だが、今さら戻る事もしたくなかった。
どこをどう歩いていたのかわからないが、私は行く先々で親切にされた。代償として、相手に体を任せたのは言うまでもない。
そのうち、今は使っていないという炭焼き小屋をただで貸してもらえる事になった。

254: かぐや 2003/08/11 01:01:00
私はほとんど小屋から出ることはなかったが、食べるのに苦労はしなかった。
毎晩、入れ代わり立ち代わり、男達が通ってきたからだ。
養父母の元にいた頃より、ずっと少ない額ではあったが、金を置いていく者もいた。
食べ物を置いていく者もいたし、着物を置いていく者もいた。
ここの男達は、野良仕事で日焼けして、手足も逞しくなった女しか知らなかったので、歳をとってきた私でも、ずいぶんちやほやされた。

そのうち、私は独りではなくなった。
孕んだのだ。

255: かぐや 2003/08/11 01:22:00
一時動揺を示した男達も、「誰の子供かわからない」という私の言葉で安心したのか、孕んだ私の元へも通ってくれた。
いや、男達にとっては、好都合だったようだ。
今だったら、果てる瞬間まで、どれだけ深く差し入れていても、「自分の子」を孕まれる心配がないのだから。
男達にとって、私の腹の子は、「他人の子」なのだ。

それにしても、どうしたものか。
腹の中で、毎晩違う男から、頭の先を突かれるようにして育った子が、まともに育つだろうか?
それに、私1人が食べていく分には苦労がなかったが、子などどうやって育てればよいのか。
私に育てられるはずがない。

そうだ、竹やぶに捨ててしまおう。
きっと、私と同じように拾われる。
それからどんな人生を送るかは、私の知らない世界の事だ。

261: 名無しのオプ 2003/08/14 02:15:00
桃太郎が鬼が島から喜び勇んで帰った日のことです。
「おじいさん、おばあさん今帰ったよ~」
しかし、家の中からは何の応答もありません。
「おかしいなぁ、どこに出かけたのだろう?」
すると、裏庭でつい先程までお伴をしてきた犬がさかんに吠えています。
桃太郎は急いで裏庭に走って行き「どうしたっ?」と犬を見ると
犬の足下の土から干からびた手がニョキッと出ていました。
桃太郎は慌てて掘り返してみると、なんとそこには、
あのおばあさんとおじいさんの哀れな姿が
出て来たではありませんか。
「おじいさんっ、おばあさんっ!」
「畜生、一体誰がこんなことを・・・」
「そうか、きっとあの鬼どもが先回りして復讐に来たんだな」
「この次こそは皆殺しにしてくれるわ、今に見ておれぇ」
というや否やまた犬と猿を従え鬼が島に渡りました。

しかし、鬼が島に着くと桃太郎たちは待ち伏せしていた鬼たちに囲まれ
こん棒で頭を打ち叩かれ、たちまちに息絶えてしまいました。

その光景をはるか上空で見ていた雉が何度も飛び回っていました。
そうしてふと呟きました。
「あのジジイとババアにゃ、危うく鳥鍋にされるところだった」
雉は今までにもない大きな声でひと鳴きしてそこから飛び去りました。

265: 名無しのオプ 2003/08/18 00:56:00
「推理するスレ」というより「創作するスレ」な感じになってきたが、面白いので、あげ。

266: かぐや 2003/08/18 02:50:00
今度は、「つるの恩返し」で作ってみました。
でも、「かぐや姫」と似た感じになってしまったかも m(_ _)m

「かぐや姫」書いた時は、『なるべく』昔話っぽい言い回しにしようと気をつけていたのですが、今回は割り切って、現代語調にしました。

267: かぐや 2003/08/18 02:52:00
とうとう夫に知られてしまった。
私が体を売っていたことを。
貧乏をしていたとはいえ、夫にだって男としてのプライドがあるだろうから、このまま内緒にしておきたかった。
だから、私を買う男どもからは、わざわざ金ではなく、反物で代価を受け取る事にしていたのに。

でも…最近の夫は、まるでヒモだったではないか。
私の渡した反物を、町で売りさばいてくるだけ。
そして、反物が売れて帰ってくると、昼日中から私を抱いた。
夜、私は、「機を織る」という名目の為に、夫の相手をしてやれなかったから。

夜は知らない男に犯され、昼は夫に攻められる。
家事だってこなさなくてはならない。
私は睡眠不足もあり、衰弱していった。
夫に秘密を知られてしまったのは、いい潮時だったのかもしれない。
そもそも、生活の足しにしようと思って始めたことがいけなかったのだ。
ただ夫を堕落させてしまった。
この家を出よう。
夫が更正しようがしまいが、もう、ここへは戻れないだろう。
さようなら…元気でね…。

268: 名無しのオプ 2003/08/19 10:09:00
>>267
う~ん、なるほど。いいねえ。
恐ろしい話だ。

271: 名無しのオプ 2003/08/22 02:42:00
「君は桃太郎の真相に興味はないかい?」
「ないよ、そんなことよりも早く貸してたビ」
「まあまあ、そう言わずにちょっと聞いてくれよ。いいかい?」
「だから良くないっての。それよりもビ」
「桃から生まれた桃太郎、なんて云うけどさ、そんな話信じられる?
 かぐや姫の時も言ったけど『まさか』の一言で終わりだよね」
「だーかーらー、聞く気はな」
「で、突然だけど質問だ。君の弟の健二君、確か今7歳だったよね?」
「・・・・・」
「こんな質問をされた事はないかい?『赤ちゃんはどこから来るの?』って」
「・・・・・」
「返事に困っただろ?コウノトリの話でもしてお茶を濁したかい?
 それともエロエロ魔人の君のことだ、ホントの事を言ってしまったのかな
 なんてね、ははは」
「うるせえよ」

272: 名無しのオプ 2003/08/22 02:44:00
「桃太郎もそういうことなんじゃないかな、
 子供のソノ質問を回避するための創作、桃から産まれましたってね。
 次の疑問、犬猿雉なんてお供でどうやって鬼を倒したか。
 で、ここでまた質問。君は鬼といわれてどんな姿を想像する?」
「あー結局こうなるか・・・くそ。
 ・・・そうだなぁ、まず角だろ、あとは赤とか青とか」
「そう、角と色だ。他には村人を困らせる生き物ってのもあるね。
 それらに当てはまるのはなにか・・・ズバリ野生の巨大生物、これだね」
「ってーと?」
「牛とか鹿とか、何か巨大な野生動物さ。
 そんなのが畑を荒らしたり人を襲ったりしてたんだよ。
 で、村人がそいつらをこう呼ぶようになるのさ『鬼』ってね」
「つまり、ホントの鬼がいたんじゃなくて
 そういう名前で村人から呼ばれてたって事か」
「そう。そこで呼ばれたのが桃太郎たち猟師軍団。
 なんと、桃太郎は猟師だったのです!
 こうなると犬猿雉の正体も想像がつくね。まず、犬は猟犬。
 雉は、これは実は鷹。そして猿、これは鷹匠。
 桃太郎が主人公の話なので人間から猿に格下げされちゃったんだね、きっと」
「うわ、なんか酷えな」
「これが桃太郎の真相だよ、どうだい?」
「うーん、それなりにまとめてあるな、とは思うんだけど・・・地味だよな」
「いいんだよ、太宰も言ってたし
『桃太郎はギリギリまで単純化させられていて話というよりは詩や歌に近い』
 って。仕方ないの」
「けっ、普段ミステリしか読まないくせに、何が太宰だ。
 どうせ片手で足りるくらいしか読んでないんだろ?
 それで文学青年気取りかよ、めでてーな」
「う・・・変なとこだけ名探偵だね、君は。
 まいいや、じゃあ僕からもひとつ言わせてもらうけどさ、

273: 名無しのオプ 2003/08/22 02:45:00
あいつの家から帰る途中、ふと考える。
桃から生まれた桃太郎、か。
ははは、みんなそうじゃないか。
俺も、あいつも、父も、母も、優子も、健二も、
人間はみん桃からやって来るんだ。
人類皆兄弟か。まさにそうだ。みんな桃太郎だ。

 なんて、前回と同じオチをつけるのは辞めた方がいいよ」
「な・・・!なんでそれを・・・!?」
「なんでって、インターネットの掲示板に書き込んだのは君だろ?
 僕が見るとは思わなかったってか?
 君はここにあるこの四角い機械をなんだと思ってたんだい?
 マインスイーパー専用機かい?僕はソリティアの方が好きだけどね。
 お?顔が赤いよ、怒ってる?それとも恥ずかしいの?」
「モ、モ、モ、モウコネエヨ、ウワァァァン!」
「・・・ちょっとやりすぎたかな」

あいつの家から帰る途中、ふと考える。
にしても、なんでかぐや姫の話なんて始めたんだっけ・・・
あ、そうか。・・・って、あ――――――!
「しまった『桃尻教師の課外授業』を返してもらうの忘れた・・・」

275: 名無しのオプ 2003/08/26 00:39:00
やっぱり、「桃」ってとこが重要なんだよな。
リンゴやみかんじゃだめなのだ。

276: 名無しのオプ 2003/08/28 03:52:00
「ねぇ、浦島太郎の真相って興味ない?」
「えーなにそれ、この前のかぐや姫みたいな話?」
「そうそう、それそれ」
「あー、ちょっと聞いてみたいかも」
「さっすが我が心友、話がわかるわね。
 じゃあ早速だけどさ、あんただったら浦島太郎をどう解釈する?」
「なにそれ、そっちが話してくれるんじゃないの!?」
「まあそうなんだけどさ、ちょっと聞いてみたいじゃないの、人の意見も」
「うーん、じゃ考えてみるけどさ、本当に普通の話になっちゃうよ?」
「どーぞ、どーぞ」

277: 名無しのオプ 2003/08/28 03:53:00
「えーとね、虐められてた亀っているでしょ?
 あれはどこかの商人だったの、それと虐めてた子供達は山賊とかそんなの。
 で、助けてもらった浦島太郎に感謝して、家に招待するの。
 そして亀の娘乙姫と結婚して数年間幸せに暮らす。
 でもある日、浦島はふと故郷が懐かしくなるの。
 『父さん、母さん、元気かな』って。
 そこで突然の帰郷を決意する浦島太郎。
 しかし数年ぶりに戻ったその場所には、ただ空き地があるばかり。
 時の流れとは無常なものなのです・・・ああ無情。
 なんて話でどう?」
「うん、あたしが考えても大体そんな感じになるのよね。
 でもさ、大事な、一番大事なモノの説明がないわよ」
「・・・玉手箱でしょ?でもさぁ、あれだけはどうにもならないのよ。
 だって、ふたを開けただけでお爺さんになっちゃうなんて・・・」
「そんな話あるわけないって?
 ふふふ、じゃああたしの話を聞いてちょうだい。
 だいぶ長くなるけど・・・。ごめんね、どうかひとつ暖かい目で」

278: 名無しのオプ 2003/08/28 03:54:00
「こんな話を聞いたことない?
 身も凍るような恐怖体験をして、一夜にして白髪になってしまった
 っていう男の話」
「あー聞いたことあるある」
「早くも謎解決ね、玉手箱の中にはとても恐ろしいものが入っていたのよ」
「恐ろしいもの、なんて一言で言うけどさ、
 見ただけで白髪になっちゃうほど恐ろしいものなんて、そんなものある?」
「まあ話を聞いてちょうだいな。
 ところでさ、さっきあんたが話した浦島の解釈あるでしょ?
 あれ一箇所訂正させてちょうだい。
 浦島はふと故郷が懐かしくなる、んじゃなくて
 浦島は乙姫と喧嘩を、してしまうの。
 家を出て行く浦島に乙姫は玉手箱を渡す、で言う。
 『この箱はけして開けないでください』って。
 もちろんこれは乙姫の作戦ね。
 数年間夫婦として過ごしたわけだから、
 なんて言えば浦島が確実に箱を開けるかがわかっていたのよ。
 やな女よね」
「可愛さ余って憎さ百倍、ってやつかしら」

279: 名無しのオプ 2003/08/28 03:55:00
「さて、ここで問題です。
 さっきのあんたの話には、あるものが足りません。
 それはなんでしょう?」
「えー、愛とか?あはは、うそうそ。
 なんだろ、速攻ギブです。答えはなに?」
「もう、考える気ないでしょw
 ま、いいんだけどさ。
 あのね、二人は夫婦だったわけでしょ?
 じゃあさ、いてもいいと思わない?
 ってか、いるべきだと思わない?
 浦島と乙姫の『子供』が」
「子供かー、愛も惜しかったじゃない」
「はいはい、じゃあ残念賞を挙げましょう。
 話は戻って子供です。
 この子供を浦島はたいそう可愛がっていました。
 乙姫は浦島への復讐を考えています。
 その時、浦島の一番大事なものが目に入ったのです。
 我が子の名を呼ぶ乙姫。
 笑顔で母親のもとに駆け寄る幼児。
 そして乙姫は我が子を抱き寄せ、そっと包丁を手に取り・・・」

280: 名無しのオプ 2003/08/28 03:56:00
「ストップ!
 ・・・その先は言わないで・・・もうわかったから・・・」
「あ、ごめん・・・。
 じゃあ続きを飛ばして一言。
 乙姫は、自分の子供に嫉妬していたんじゃないかしら。
 旦那の愛が子供にばかり注がれるもんだから。
 なんだかんだで浦島を愛してたのね。
 可愛さ余って憎さ百倍、憎さ余って可愛さ千倍、ってとこかしら。
 どう?これなら中を見ただけで年老いてしまいそうじゃない?」
「そうね、私なんか話を聞いただけで白髪になっちゃいそうよ」
「ふふふ。あ、そうだ、今思いついたんだけどさ、
 この話を本にして『本当は怖い日本昔話』として売り出せば一躍ベストセ」
「それは無理」

281: 名無しのオプ 2003/08/28 03:56:00
      -数時間後-
「これ、帰る時に持ってってよ」
「なに?この袋」
「うちのアニキから、あんたの兄さんにだって。
 忘れ物みたい」
「ふうん、じゃあ・・って、手ぇ放しなさいよ。
 あ、コラ、返せってば。きゃあ、なに勝手に開けてんのよ!」
「まあまあ、いいじゃない、言わなきゃばれないって。
 ・・・お?中身はビデオテープか。どれどれ」
「ちょっ・・・あぁあ、ほんと、いい性格してるわね」
「ども、褒め言葉として受け取っておくわね。
 ではでは、ビデオテープい~ん!
 ・・・お!これはこれは、むふふふふ、すごいじゃなーい。
 ちゃんと巻き戻しないから、こんな所からはじまっちゃってるし。
 おーおー、うひゃあ、教師ものかぁ、うわ、こりゃまたどうして。
 あんたの兄さんもいい趣味してるじゃない。
 …っておーい、どうしたー、顔真っ赤だぞー、聞こえてるかー?おーい」

ぅゎぁ・・・お兄ちゃんてば・・・
この玉手箱は凄すぎだよ・・・
『年老いた』というよりも
『大人になった』気がします。

287: かぐや 2003/08/29 00:54:00
今度また、売春婦もので書いていいですか?

288: 名無しのオプ 2003/08/29 08:36:00
>>287おながいします

292: かぐや 2003/09/05 03:20:00
隣にいる夫の寝顔。
もう何年肌を重ねていないだろう。
色気より食い気?
私達夫婦は、食べていくだけで精一杯だ。
こんな状態で、この冬を乗りきれるだろうか。いや、年を越せるのかさえ危うい。
それなのに、夫ときたら。
今日も町まで笠を売りに行ったのに、1つも売れずに帰ってきた。
気の弱い夫が、物売りには向かないことはわかっている。
でも。
ふたりきりで雪に閉ざされて、餓死でもしろと言うのか。
再び、夫の寝顔を見た。
私は、快楽を忘れた体で死ななくてはいけないのだろうか。

293: かぐや 2003/09/05 03:21:00
「今日は、私が笠を売ってきましょう」
薄い粥を啜る夫に、私は提案をした。
心無し、ほっとした表情をする夫。
情けない。

身支度を整え、私は粉雪が舞う中へと踏み出した。
覚悟はできていた。
自分がそれほど高く売れないことはわかっている。
でも、年が越せるだけの金ができればいい。欲を言えば、冬の間、飢えなければ。

それに、私は「女」を取り戻したかった。

294: かぐや 2003/09/05 03:52:00
荷物になる笠は、村はずれで背から降ろした。
ただ捨てるのはさすがにもったいないと思い、道ばたのお地蔵様に被せた。
形だけでも手を合わせた後、私は町へと足を向けた。

「相場」などわからなかったが、多分、私の言った「値段」は、相場より安かったのだろう。
1人。
覚悟などいらなかった。
自分の欲求――金と快楽――を満たすことは、思ったよりも楽だった。
  2人。
    3人。
これで、楽に年が越せる。
      4人。
        5人。
もう少しで、春まで暮らせそうだ。
          6人。
さすがに限界だった。
体も擦り切れてしまいそうだったが、それよりも、忘れかけていた快楽を思い出し、私は私を失ってしまいそうだった。
7人目の客には、深く詫び、口で奉仕した。
それでも、最後まで丹念に丹念に奉仕したのが伝わったのか、7人目の客も、金をくれた。

気が付けば、とうに日は暮れていた。
村に着く頃には、夜も更けているだろう。
夫は起きて待っているだろうか。
懐に手をやる。
私が稼いだ金。
笠の代金としては多すぎる金額だ。
夫になんと言おうか。
家に着くまでに、うまい言い訳を考えなくては……。

295: かぐや 2003/09/05 04:00:00
前置きしませんでしたが、今回は「かさじぞう」でした。
御拝読、ありがとうございました。

303: 名無しのオプ 2003/09/08 00:37:00
乱歩調のやつ、また読みたい

304: 2003/09/08 02:23:00
隣で眠る妻。
まだ若い。
それに比べ、自分は……。

結婚した頃は、若い妻の体を、何度も貪った。自分もまだまだ体力があった。
今は、妻を満足させてやることができない。下半身は萎びたまま。かさついた手で、妻の肌を撫で回すぐらいだ。

妻は何も言わないが、欲求不満になっているのは知っている。箪笥の奥には、自身を慰める為のさまざまな道具が入っているようだ。それでも、不貞だけは働いていないらしい。

歳の離れた夫を持ったばかりに……。
女盛りの妻の欲求を解消してやる術はないものだろうか。

305: 2003/09/08 02:25:00
歳の離れた夫に嫁いだ時、覚悟した事は、夫の方が先に逝ってしまう悲しみだった。
なのに、まだ夫が生きている今、こんな事で苦しまなければいけなくなるとは……。

男が欲しい。逞しい男が。

たまに、夫が私に手を伸ばしてくるが、それだけだ。私は満足できない。私も夫に手を伸ばしてみるが、夫のそれは、柔らかいままうなだれている。

愛されているのはわかっている。けれど、悲しいことだけど、心だけでは駄目な時もある。
そもそも、生娘だった私の体を、こんな風にしてしまったのは夫なのだ。首筋も背中も腿の内側も、全部夫が見つけた場所だ。

ああ、もし私が肌も粘膜も潤いを無くした老婆だったなら、まだ諦めもついただろうに……。

306: 2003/09/08 02:26:00
妻に、若い男をあてがってはどうだろう。
自分以外の男と寝る妻を想像するのは、非常に堪え難い事だが、妻をこのままにしておくのも不憫だ。

どんな男が良いか。
逞しい男が良いだろう。
実直な男も良いだろう。
男前すぎるのは駄目だ。妻が本気になってしまう。
賢すぎても駄目。財産を奪われかねない。
条件の合った男を探すのは一苦労だが、妻の為に……。

307: 2003/09/08 02:27:00
夫が知らない男を連れてきた。好きなようにして良いと言う。
この男と寝ても良いと言うのか。
私はこれでも夫を愛している。
嫁いだ時は、周りから、「玉の輿」だとか「財産目当て」だとか言われたが、私達は純粋に愛しあっていたのだ。
だから、いくら欲求がつのっていても、他の男は寄せつけずにいたのだ。
それなのに、夫自らが、男を連れてくるとは。

そんな私の心とは裏腹に、体は男に反応していた。
適度に灼けた肌。
がっしりとした肩。
厚い胸板。
程よく筋肉のついた脚と、引き締まった足首が織りなす輪郭。
ああ。あとはどうなっているのか。衣服を剥ぎ取ってしまいたい。
私は、自分の茂みが徐々に湿り気を帯びてくるのを、押さえる事ができなかった。

308: 2003/09/08 02:29:00
妻のあんなに甘い声を聞いたのは久しぶりだ。
自分でも醜いと思いながらも、妻と男の秘め事を、屏風の陰から窺わずにはおれなかった。
男の指が、唇が、妻の肌を這う度に、妻の肌の滑らかさを、この指に感じるような気がした。
だがさすがに、男のそそり立つ物が妻の茂みに分け入っていく瞬間だけは、目を逸らした。しかし、妻の、歓喜とも嗚咽ともとれるようなあえぎだけは、耳の奥まで届いてしまった。
それでも自分の下半身は反応しない。
これでよかったのだ。これで……。

309: 2003/09/08 02:30:00
男によって、私は潤った。
昼も夜も、前からも後ろからも、上からも下からも。
気がつけば、男が来てから3年もの月日が経っていた。
そして私は、今度は男とも寝る事がなくなってきていた。
満ち足りたせいではない。
性欲は、行為の後の一瞬は満ち足りた気持ちになっても、また新たな欲求が生まれる。
食欲だってそうだ。満腹になったって、いずれ空腹になるものだ。
男は、なぜ自分が用済になったかわからないだろうか。
後で気付くように、土産を持たせてやろう。

310: 2003/09/08 02:32:00
3年前に身一つでここに来た男は、小さな箱をかかえて去って行った。妻が持たせた土産だ。
あの中に入っている物は、鏡。
3年間、この屋敷の中だけで暮らし、妻だけを見てきた男は、鏡で己の姿を見て驚くだろう。
髪は白く変り、浅黒かった肌も、どす黒くなっていた。
男の体はもはや、妻を満足させられなくなっていた。
妻から精気を吸い取られたと言っても過言ではないかもしれない。
女の欲求が、これほどまでに底なしだったとは。
また、新しい男を探さねばならぬようだ。

311: 名無しのオプ 2003/09/08 02:34:00
304--310
キャスト
夫…亀
妻…乙姫
男…浦島太郎
で、お送りいたしました

313: 名無しのオプ 2003/09/08 19:46:00
乙ー!!
最初何か判らんかったが、309でやっと判った(w
八百比丘尼みたいな理由が(・∀・)イイ!!

314: 名無しのオプ 2003/09/08 21:06:00
問題は、村に帰った時の村人の反応だな。

329: 相談者 おじいさん 2003/09/25 01:04:00
うちの家内が、最近変なんです。
独り言が多くて……、いや、正確には、一人二役って言うんでしょうか、自分自身で会話しているんです。
腹話術に近いかもしれません。
家内は、自分の人さし指と会話しているんです。
家内にとっては、指は子供らしいんです。
私達夫婦は子供に恵まれなかったもので、子供が欲しかった家内は、そのせいでおかしくなってしまったのでしょうか。
どうすればいいのでしょう?

330: 相談者 おじいさん 2003/09/25 01:13:00
家内の行動を否定せず、徐々に治ってもらうことを願っていましたが、限界です。
私がおかしくなりそうです。
家内からすれば、存在している子供が、私には見えない事の方がおかしいのです。

とうとう、私はやってしまいました。
家内の人さし指を、包丁で切り落としたのです。
でも、切り落としたとたん、私もその指が一つの生命のように思えてきてしまいました。
まだ、こいつは生きている、という気がして、さらに針で刺し続けました。
そして、家内が気を失っているうちに、お椀に入れて、針を刺したまま川に流してしまいました。

331: 相談者 おじいさん 2003/09/25 01:19:00
意識をとりもどした家内は、私に指を切り落とされた記憶はなくしていました。
それは、私には好都合だったのですが。
家内には、子供は独立して家を出て行ったのだ、ということにしてあります。
家内は、淋しそうですが、私の平穏は取り戻せました。

けれど、また家内が独り言を言うようになってきたのです。
会話の相手は、どうやら中指……。

332: 名無しのオプ 2003/09/26 01:14:00
親指と話して親指姫・・・
なんて思ったけど、あれって日本昔話じゃないんだよね。
一行目を書いてる途中で気づいたよ。
あぶねぇあぶねぇ。

333: 名無しのオプ 2003/09/26 15:50:00
>>332
むしろ、指に針を刺してお椀に入れて川に流すなら、
一寸法師かなと思った

334: 名無しのオプ 2003/09/26 22:05:00
>>333
いや、一寸法師であってると思うよ

336: 名無しのオプ 2003/09/28 00:46:00
一寸て、何センチくらいんだ?

337: 名無しのオプ 2003/09/28 21:47:00
3センチだよ

338: 名無しのオプ 2003/09/29 23:44:00
じゃ、小指ほどもないのか

340: 名無しのオプ 2003/10/09 09:21:00
保守

341: 名無しのオプ 2003/10/10 11:44:00
腐守

342: 愛人 2003/10/16 00:55:00
あたいとあの人の仲が、本妻にバレちまってさあ。殺されそうになったのよ。
でも、嘘泣きして懇願して、ちょっと同情させた隙に、あたいの方が殺っちまったのさ。
これであの人と一緒になれると思ったのに、あの野郎、もう一人愛人がいたのさ。
色白の女だったよ。
その女、あたいより性悪さ。
今度はその女に殺されそうになってねえ。
火傷負わされたり、海に沈められそうになったり。
もうこりごりさ。
あんな男、その女にやることにしたよ。

343: 愛人 2003/10/16 00:57:00
キャスト
男  おじいさん
本妻 おばあさん
愛人 たぬき
もう一人の愛人 うさぎ

~~かちかち山でした~~

344: 名無しのオプ 2003/10/16 22:45:00
おまいら面白いぞ!

345: 名無しのオプ 2003/10/17 00:53:00
「この昔話で書いてくれ」って希望があれば、ネタ考えてみますが、何かありますか?
自分が思いつく「昔話」は書いたので。。。

349: 名無しのオプ 2003/10/22 23:38:00
あたしの名前はツル。
気がついたら親なんていなかったし、
気がついたらワルイコトして生きてた。
さて、今日も生きるために食い逃げといきますか。

うわっ、やっちった。店の親父に捕まっちゃったよ。
どーしよ、泣き落とすか?色仕掛けるか?
・・・ん、なんだこのジジイは、どこから沸いて出た。
お?店の親父と話を始めやがったぞ。
「でもよ爺さん、そいつ・・・ってもん・・」
「そこをど・・金なら・・の娘の分まで払う・・・」
おお、なんだか偽善者っぽいぞジジイ。ガムバレー。
ほれ、もう一押し・・・よし、あたし無罪!ひゃほい。

350: 名無しのオプ 2003/10/22 23:39:00
どーりでなー、おかしいと思ったよ。
やっぱり体が目当てだったのか糞ジジイめ。
あの慣れた仕草からすると、どーも前科がありやがるなって感じ。
むかついたんで、一発殴って逃げてきちゃいました。てへ。
あー、にしてもイライラがおさまらねー!
よし決めた、仕返し続行だ。あのジジイの後を追おう。
決断が早いってのはいいことだね、うん。

ひでーな、あのジジイ。猫かぶりすぎ。
「お婆さんや、今日は罠にかかった鶴を助けてあげたんですよ。
 猟師さんにはすまないと思ったけれども、どうも放っておけなくてね」
だってさ。こりゃ徹底的に懲らしめてやんないとな。
てな訳で、早速お化粧開始っすよ。いい着物も着ちゃうっすよ。
もちろん全部盗品だけどね。よし、見違えるような美人の出来上がり。
これで準備万端、細工は流々仕上げを吾郎次郎、なんつってね。

351: 名無しのオプ 2003/10/22 23:40:00
そんなこんなであたしは今、ジジイの家に。
適当な理由をつけて一晩泊めてもらう事にしたのですヨ。
作戦の為&夜這い防止のために、部屋には入らないように言ってあるですヨ。
・・・ホントはチョト心配だけど、まあ婆さんの前じゃ本性は見せないだろうし。
二人が寝たのを確認して町に繰り出すあたし。うし、順調々々。

翌朝、しずしずと反物を差し出しながら言う。
「突然の無理なお願いを聞いていただいて、本当にありがとうございました。
 一宿一飯の恩義、とでも申しましょうか。これはほんの気持ちなのですが・・・
 どうか受け取ってくださいませんか?いえ、そんな、ただの気持ちですから。
 これを売れば、いくらかのお金になると思いますので」
ジジイは、なんだかんだ言いながらちゃっかり懐に。よしよしよし。
これにて作戦完了。めでたしめでたし・・・あたしだけが、だけどね。

352: 名無しのオプ 2003/10/22 23:41:00
あのジジイ、今頃どうなってるかなー。
盗品と知らずに、あの反物を売っ払ってるころかなー。
それとも、反物倉庫に置いて来たジジイの手拭いが発見されてるころかなー。
それとも・・・・・それが証拠になって役人に捕まっちゃってるころかなー。
うーん、ちょっとやり過ぎたかな、って気がしなくもない今日この頃。
でもいいや、きっといい人生勉強になっただろうし。
ま、あのジジイに『人生』なんてもんが、あとどれくらい残ってるかは知らないけどもね。
あは。

355: 名無しのオプ 2003/10/29 10:51:00

356: 名無しのオプ 2003/11/03 09:19:00

365: 名無しのオプ 2003/11/08 01:57:00
俺は正直言って、困っていた。
(このコブさえなけりゃ、女にもてて、遊べて、ウハウハなのにな。)

そういえば、隣にもコブつきの兄ちゃんがいたな。
可愛そうに・・・。あいつも俺みたいに悶々としてるんだろうな・・・。

どうやったら取れるんだ?このコブは?
誰かに押し付けるわけにもいかないし、はぁ、やだやだ。

俺は野良仕事に出た・・・。

366: 名無しのオプ 2003/11/08 02:04:00
野良仕事・・・楽しくは無い、がしなけりゃ生きていけない。
淡々と同じ動作を続けた・・・ん?隣の兄ちゃんも野良に出てるな。
あいつは俺と違って真面目だ、母親の面倒見もいいし評判の息子だ、俺と
同じなのは・・・共にコブつきって事だけ。あ~だりぃ、博打にでも行くか、久々に。

俺はついてた、信じられないくらい。
たった三文の金があっという間に一両になった、へへへ、これだけありゃ
女も買えるな・・・。

しかし、一人の男が俺の人生を狂わせた・・・。
そいつはこう言って近づいてきた・・・。
「兄さん、馬鹿づきですな、ちょっといい話あるんですけど、のりません?」
「いい話?」
「そ、ま、ここじゃなんなんで、飲み、行きましょ。ささ・・・。」
「お、おう・・・。」

367: 名無しのオプ 2003/11/08 02:08:00
「で、なんでぇ、話って?」
「せっかちですな、旦那・・・おい、おやじ、燗つけてくれ。」
「へぃ。」

「いえね、話ってのは、おっ、きたきた、まま一杯・・・。」
「こりゃ、すまねぇ・・・で、話・・・。」
「そうそう、話、旦那ぁ、鬼って信じますかい?」
「鬼?ねぼけてるのかい?」
「ははは、ねぼけちゃあ、いませんよ。鬼、です。」
「角の生えた?」
「あはは、角は生えちゃあいやせん。」
「じゃあ、何が生えてる?」

男の話を説明するとこんな感じだった・・・。

368: 名無しのオプ 2003/11/08 02:15:00
「鬼」と呼ばれる集団、平たく言うと「殺し屋」がいる、ということだった。
なんでも金次第でどんな仕事でも受けてくれるそうだ。
で、話し掛けてきた男は俺にこう言った・・・。

「そいつらに頼んで、越後屋、知ってます?大店の、越後屋。」
海産物問屋の越後屋を知らぬ者はここらへんにいない、蔵には千両どころか万両詰まってるって、話だ。
「その越後屋を・・・皆殺し・・・。」

「・・・・・して、どうする?」
「頂くんですよ、蔵の金を。」
「「鬼」が許さないだろう、横からかすめとる、なんて・・・。」
「いいえぇ、あいつらおかしいのが集まってるんですから・・・中には
 そういう仕事が趣味、って奴もいるぐらいで・・・。」
「やめた、やめた!そんな危ないことに首突っ込めるか!帰る!」

俺はそう言うと、酒代を男に投げつけ足早に家路に着いた・・・。

369: 名無しのオプ 2003/11/08 02:25:00
俺の鼓動は早鐘のように打っていた・・・ドクドクドクドク。

「「鬼」か・・・。そんなもん、金でどうのこうのなんて奴が・・・いるのか?」

翌日、俺は相も変わらず野良に出た。隣の兄ちゃん・・・威勢良く野良やってるな。

・・・?あ、あいつコブが無い・・・あんなに目立ってたのに。何故だ?

聞いてみようか?しかし、あんまり親しくないしな・・・あいつの周りには
色んな女がいつもいるんだよな。同じようにコブがついてる俺には誰も目もくれないのに。

頭下げるの、嫌だな。そうだ、お袋に聞かせに行けばいいんだ。
俺はお袋に頼んで隣の兄ちゃんの所へ聞きに行ってもらった・・・。

晩飯の時、俺は聞いてみた。「なんて、言ってた?」
「そうさねぇ、ただ、笑ってただけさね。」
「笑ってた?んじゃなくてちゃんと聞いたのかよ。お袋。」
「聞いたよぉ・・・もういいじゃないか。母ちゃんお前が色々悩んでるのも
 判ってるよ、でもね、なったことはしょうがないじゃないか。それも受け止めて
 生きていかなきゃ・・・。」
「うるせぇぇぇ!」

俺は夜の町に飛び出た・・・あの、博打場で、あいつを見つけなきゃ・・・。

370: 名無しのオプ 2003/11/08 02:37:00
あいつは簡単に見つかった、ついてる奴片っ端から声を掛けてるようだった。
「よ・・・よぉ。こないだは、わ、悪かったな・・・。」
「おっ、旦那・・・のるんですかい?」
「は、話し次第だな・・・ここじゃアレだ、外に行こう。外。」

「あのさ、「鬼」ってのにはどうすりゃ逢える?」
「逢って何を頼む・・・ま、いいでしょ、人にはそれぞれ悩みがあるんだ、
 聞かないでおきましょ。しかしねぇ・・・。」
「ど、どうした?」
「いえね、逢おうと思って逢えるもんじゃ無いんですよ。」
「ど、どういうことだ?」
「ここから四里ばかり離れた山の中腹に今は忘れ去られたようなお堂がありやす。」
「うん、で、、、。」
「その、お堂の前に地蔵があってそれの下に自分の殺して欲しい相手の名前を書いた
 紙を埋めるんです、すると「鬼」が仕事するんで頼んだ方は、銭払うんです。」
「ど、どこに・・・?」
「また、その地蔵の下に、銭を埋めるんです。」
「そ、そうか・・・ありがと。」
俺は一目散に家に帰った・・・この間の一両がまだある、一両も払えば「鬼」も納得するはずだ。
そいつらが動けば、俺も変われる、邪魔なコブを取って生まれ変わるんだ!

「あ~あ、行っちゃったよ・・・困るね、せっかちなお人は・・・ま。しょうがねぇか。」

371: 名無しのオプ 2003/11/08 02:47:00
次の日、朝早くに俺は出かけた。
寝不足に四里はきつかったがなんとかお堂を見つけた・・・。

「ぼろぼろだな・・・薄気味悪ぃ・・・おっあれが地蔵だな。」
俺はそいつを動かし、地面を掘り、紙を埋めた・・・。

「最近は誰も頼んでないみたいだな、土が固ぇや。えっと・・・これでいいのかな?」

その時・・・「うぬは何故ここに来た・・・?」

地の底から震えるような低い声が・・・聞こえた。

「ひゃっ・・・こ、こ、こ・・・」
「殺したい者がいるのか・・・。」
「そ、そ、そ・・・で、・・・す。」
「そうか、何故に殺したいのじゃ・・・。」
「じ、じゃ、じゃ・・・じゃまだからです。お、俺にまとわりついて
 いつでもどこでも俺の前に現れる、うっとおしいったらしょうがねぇや!」
俺は半ばヤケになっていた・・・。殺されるんじゃないか、とも思っていた。

「そうか、、、帰れ。紙を見て我々は判断する。勘違いするな、我々は殺し屋では・・・無いぞ。」

俺は叫びながらそこを離れた・・・気がおかしくなりそうだった・・・家に着くなり
布団をかぶってガタガタ震えてた・・・お袋は心配したが、どうしようもなかった・・・。

372: 名無しのオプ 2003/11/08 02:55:00
数日後、赤ん坊の泣き声で俺は目が覚めた・・・。
それに外がなにやら騒がしい・・・俺は寝ぼけ眼で表へ出た。

「あんたの子、だってさ。」
お袋が困惑したような顔で俺に赤ん坊を渡す、捨て子にしちゃひどく上等な着物を着ている・・・。
「それにこれ・・・手紙、あんた宛だよ。」
俺は手紙を受け取り家に引っ込んだ・・・。混乱の極みに俺はいた・・・。
「手紙・・・誰からだ?なになに・・・。」
赤ん坊をあやしつつ、俺は手紙を読んだ、表の人垣はいつの間にか消えお袋も戻ってきていた。
「で、なんて書いてあったんだい?」

俺は今、読んだばかりの文面を反芻していた。

「巷では我々を「鬼」と称しておるのは知っておったが、お前は本当の鬼だな」
この一文から手紙は始まった・・・。

373: 名無しのオプ 2003/11/08 03:00:00
「今まで、色々な人間が我々の前に現れたが子殺しを頼んだのはお前が 
 初めてじゃ、いかな我々とて親を慕う子を殺すなど、出来る訳が無い。
 我々がお前の近在で見聞きしたところによるとお前は自分が不幸なのは
 我が子のせいである、と常々嘆いている、ようじゃな。
 しかも、母親の言葉にも耳を傾ける素振り、すらない、真に不届き・・・」

説教はいいんだよ・・・で、なんでここにもう一人ガキがいるんだ?
こっちは一人でも持て余してるのに・・・。

374: 名無しのオプ 2003/11/08 03:08:00
「・・・長々、と書いてきたが我々はお前に罰を与える事にした。
 子供が嫌いなお前に、もう一人子供を授けてやる。
 その子は江戸の大火で焼け出された身寄りの無い子供じゃ、育ててやれ。」

確かにこないだの大火事で大勢の子供がみなしごになったとは、聞いたが・・・。
まだ、続きがあるな・・・。
「しかしただ、他人の子を育てろ、と言ってもお前には無理だろう、だから我々は見張ることにした。
 その子を捨てるなり、殺すなり、里子に出すなりしたら、お前をひどい目に合わせる。
 ふふふ、きちんと育てろよ、いつも見てるからな。そうそう、我々も鬼では無い、例の地蔵の下、掘ってみよ。」

・・・鬼じゃん、こいつら・・・。
しかし・・・。俺はお袋に赤ん坊を預けると地蔵の所へ行った。

375: 名無しのオプ 2003/11/08 03:12:00
「ハァハァハァ・・・またここに来る、とはな・・・。」

地蔵の下を掘った・・・金だ。大判、小判が、ザクザクと・・・。
「ゆ、夢か・・・?いや、違う、やった大金持ちだぁぁぁ。」

・・・・・子供たちのために使え・・・・・

・・・・・隣の家の男の様にはなるなよ・・・・・

低い声が突然聞こえ、俺は心臓が飛び出るかと思った。

・・・・・いつでも見ているぞ・・・・・

・・・・・いい父親、いい爺さんになれよ、ふふふふ・・・・・

376: 名無しのオプ 2003/11/08 03:23:00
・・・結局、お袋は何も言わなかったし聞かなかった。
ただ赤ん坊の出所だけは俺に尋ねた、みなしご、だと聞くと
ただ「そうかい、じゃあがんばって立派な子にしなきゃね、お前みたいに。」
と皮肉だか嫌味だかを俺に言った。

男は二人で飲んでいた「あ~あ、結局誰ものりゃしねぇ、「鬼」なんてものを
でっちあげて頼みに来た馬鹿から金を取る、って計画はあんまり上手くいきませんでしたね、御頭。」

「ふふふ、まぁいいじゃねぇか、俺は楽しんだぜ、今回。」

「ま、御頭がいいんならいいんですけどね。」

「あいつ、ちゃんと育てるかな?」

「育てる、でしょう。なんせ自分の命がかかってるんだから・・・。」

「違いねぇ、俺は親に疎まれ、世間に嫌われ、いまじゃこんな商売やってるからな・・・
 俺みたいなガキを増やしちゃいけねぇ・・・。」

「今度は、どんな仕掛けを考えやす?御頭。今回はまぁ、いいことしたんだし
 次はがっぽり稼ぎやしょう!」

377: 名無しのオプ 2003/11/08 03:30:00
「俺はいつだって真ん中にいた、誰からも愛された、羨ましがられた。
 読み書きは一番出来たし、算盤も出来た、顔もいいし、身体も強かった。
 なのに・・・なのに、あの女だけは・・・俺から離れていった。

 俺は・・・あの女の面影を残すこのガキが嫌いだった、疎ましかった・・・。
 隣の馬鹿息子はガキが増えたのに、前より楽しそうだな・・・くだらねぇ。」

 俺の方が自由だ、女にももてる、金もある・・・。なのに・・・。

 「おとうちゃん、大きな石持って、何するの?」って声が耳にこびりついて、はなれねぇ・・・。

 あいつはいなくなったのに・・・・・俺は、幸せなのか?

 コブが無くなった俺、とコブが増えたあの野郎・・・どっちが幸せだ?

381: 名無しのオプ 2003/11/09 01:32:00
良スレあげ。

383: 名無しのオプ 2003/11/11 02:00:00
「おい!婆さん、起きろ!おい・・・おいったら!」

「ん・・・な、なんですよぉ、お爺さん?まだ、夜は明けて・・・。」

「馬鹿!、す、鈴がおらん・・・。」

「えっ?・・・鈴ちゃんが?」

「そ、そうじゃ!厠に行こうと起きたら・・・おらんのじゃ!どこにも!」

「・・・で、どうするんですか?」

「何を落ち着いておるんじゃ?!とりあえず、皆に頼んで、探さにゃあ・・・。」

そういうと、お爺さんは家を飛び出して行った・・・。

(いつかはこんな日が来る、とは思っていたけどねぇ・・・。どうなることやら。)

384: 名無しのオプ 2003/11/11 02:09:00
「こんな時間によく皆集まってくれた・・・礼を言う。」

「村長、そんなことはどうでもいいから!早く手を打たないと・・・。」

「まあ、急くで無い、おなごの足じゃ、そう遠くへは行けん。」

村長の喜兵衛はそう言うと、こっちを向いた・・・。

「しかしのぉ、逃げられるとは・・・ちゃんと躾けて無かったのか?芳蔵?」

「へ、へぇ・・・そう言われると・・・面目ない。」

「困るのぉ・・・皆の所はちゃんと躾けておろうな・・・?」

「大丈夫じゃ。」「家の子は逃げたりなんかせん。」「芳蔵、しっかりせにゃ。」
口々に皆がオラの方を見ながら言う・・・。鈴の奴め・・・帰ってきたらお仕置きじゃ・・・。

385: 名無しのオプ 2003/11/11 02:21:00
「これこれ・・・今更責めてもしょうがない・・・さてどうしたものか。」

「やはり・・・芳蔵自身の手で連れ戻る、のがいいでしょう。」
と、村長の片腕、清が言う・・・皆も賛同しとるようじゃ・・・いけすかない。
オラよりも若いお前が行けばいいのに・・・。

「何か、不服か?芳蔵。」

「い、いえ・・・村長様、不服なんて・・・。」

「それなら決まりだ。明朝、鈴を探しに出かけ必ず連れ戻して来い。まだ、この辺におるじゃろう。」

更に清が・・・「隣の山に入られる前に、見つけないと・・・そうじゃろ、村長様。」

「うむ、清の言う通り。隣の山、には入られるなよ、くれぐれも・・・良いな?」

「もし連れ戻せない場合は・・・村八分にする。忘れるな、芳蔵。」

(厄介な事になった・・・鈴、オラはお前を可愛がっとったのに・・・恩を仇で返しやがって・・・。)

386: 名無しのオプ 2003/11/11 02:31:00
ガラガラガラ・・・引き戸を開け家に入る・・・。
「何て言われたんだい、お爺さん?」

「鈴を連れ戻せ、さもなくば・・・村八分、じゃ。」

「む・・・村八分・・・。」

婆さんの顔色はみるみる青白くなっていった・・・。

「し、心配するなちゃあんと連れ戻すわい。」

「このままほっとくことは出来ない、のかい?」

「ほっとく?あの子をか?無理じゃ、無理それとも、む、村八分になりたいのか?婆さん。」

「それは嫌じゃけど・・・あの子がそんなに大事かい?」

「何をいまさら・・・知っとるじゃろ!判っとるじゃろ!村の皆が待っとるんじゃ、あの子を・・・。」

翌朝、まだ暗いうちにオラは出かけた・・・寝ておらんが、なんとかなるじゃろ。


「・・・そうかい、じゃあもう何も言わん。どうせ老い先短いんじゃし・・・。好きにせえ、爺さん。」

387: 名無しのオプ 2003/11/11 02:38:00
あたしのなまえは すず。
としは いくつ なんだろう? うまれは どこ なんだろう?

おばあさんはいつもやさしかったし、おじいさんはごはんをたべさせてくれた。

ずっとこのまま なのかなっておもってた。

でも、むらおささま のところの ゆきちゃんとあかねちゃんが
むらのそと のはなしを してくれて あたしもそとにいきたくなった。

だからおじいさんがとなりで ねてたけど おこさないように そっとうちをでた。

まっくらでこわかったけど、どうしても そと をみたかった。

388: 名無しのオプ 2003/11/11 02:46:00
「ふぅ、はぁはぁはぁ・・・流石にこたえるわい。」
いつも野良仕事をして身体には自信があるものの、谷や池や沼などを一つ一つ
虱潰しに見て回るのはきつかった。
「まったく、鈴はどこにおるんじゃ?心当たりは大体見たが・・・おらんな。」


この辺の山は見て回った、村にはいない・・・まさか・・・。
隣の山・・・か?
入られたら困る、ゆうようなことを村長や清は言っとったが、どういうことじゃ・・・。

オラが鈴を探し始めて、もう三日が経っとる。早くせねば・・・。

389: 名無しのオプ 2003/11/11 02:52:00
うちからでて おひさまが さんかいのぼった。

そとにはどうしたらいけるのだろう?
おなかがすいたら きのみ や きのこ や おさかなをたべた。

あるいてもあるいてもおおきな き があるだけでそとにはでられない。
ゆきちゃんとあかねちゃんは そとには きれいなきものをきたひとや
めずらしいたべものがいっぱいあるっていってた。

わたしもそういうものがみたい。

でも、だめかもしれない おなかがいたくてあたまもいたい。
なんだか うごけなくなった。

めをつぶる、おばあさんのやさしいかおがうかんでくる。
おばあさん、たすけて・・・。

390: 名無しのオプ 2003/11/11 02:58:00
オラはとうとう隣の山へ入った・・・。
そういえば、オラは小さい時分からここへ入った事は無い。
おっかぁ、が入ってはいけない、というような事を言っとったな・・・。


とりあえず、当ても無く歩く・・・婆さんが持たせてくれた弁当も無くなり
そこらの木の実で飢えをしのぐ・・・まったく、鈴のせいで、えらい目に遭うわい・・・。

気付くと、夕方になっとった・・・また、今日も野宿か・・・。

ん?あれはなんじゃ?・・・・・。オラは近づいてみた、近づくにつれ
はっきりと見えてきた・・・人じゃ!馬もおる。

391: 名無しのオプ 2003/11/11 03:05:00
「あらぁ・・・珍しい、あんたどこからきなすった?」
男は人懐こそうな笑顔でオラに話し掛けてきた。

「と、隣の山にある村から・・・じゃ。」

「隣の・・・山?そこで生まれたんか?あんた。」

「そ、そうじゃが?」

「なら、知っとろう、ここに入っちゃなんねぇって・・・。」
男の目が鈍く光る・・・なんなんじゃ、こいつは?
「し、知っとるが・・・ひ、人探しとるんじゃ。」

「人・・・?男か?」

「お、おなごじゃ。歳は十五、なかなかの器量良しじゃ。」

「ふむ・・・・・。」

「な、何か、知っとるのか?」
男は逡巡したあとに笑顔を作ると、
「ま、今日はもう遅い、今晩は家にお泊りなっせ。」
と、言った。

(どうなっとるんじゃ・・・。一体。)

392: 名無しのオプ 2003/11/11 03:14:00
まぶしい・・・。ここは・・・。

「気がついたかい?えっと・・・鈴ちゃんって言うんだね?」

・・・だれ?このおねえちゃんは・・・。

「あっ、心配しないで岩陰で倒れてたから連れて帰って来たんだよ。
 お薬を飲んで熱も下がったしお腹の痛いのも、治ってると思うんだけど・・・。」

ほんとだ、ぜんぜんいたくないし、しんどくもない。
おれいをいわなきゃ・・・。

「あ、ありがと。」

「お礼なんていいよ、それよりお腹空いてるでしょ?お粥だよ、お食べ。」

ここが そと なのかな?おねえちゃんはみたこともないようなきものきてるし
こんなにおいしいもの たべたことないし でもあたしのなまえなんでしってるんだろ?

「ん?守り袋の中身、悪いとは思ったんだけどね勝手に見たよ。そうしたら
 鈴、って書いた紙が入ってたから・・・。えっと、字読めないの?鈴ちゃん。」

むずかしいことはおじいさんはおしえてくれなかったから・・・。
ほかのことはいろいろおしえてくれたけど・・・。

393: 名無しのオプ 2003/11/11 03:23:00
「何にも無い男やもめの家じゃが・・・ま、くつろいでくれ。」

「いやいや、あまり構わんでくれ、野宿せんでいいだけでも有難い・・・。」

「そうそう、酒、があったはずじゃ・・・あんた・・・名前は?」

「芳蔵、言います・・・。」

「じゃあ、芳蔵さん、ま、飲みましょうや。」
男は茶碗にどぶろくを注ぐとオラの前にどんっ、と置いた。

「つまみは、無いが・・・飲んでくれ。がはは。」
男は陽気にそう言うと、瞬く間に自分の茶碗を空にした。

「それは、そうと・・・なんで、オラ達の村のもんはこっちの山に入らんじゃろう?」

「聞きたい・・・のか?芳蔵さん・・・。」目が笑っていない。

「ま・・・まあな。」

「そうか、まあ、つまみの替わりに昔話でもしようかいの・・・。」
男は語り始めた・・・・・。

394: 名無しのオプ 2003/11/11 03:37:00
「芳蔵さん、あんたおっ母さんはいなさるかい?」

「いんや、おっ母ぁはとっくに亡くなった。」

「いくつで?」

「ん?そうさな・・・六十と二つ、だったかな、それが何か?」

「昔はのぉ、この辺の山にのぉ・・・六十すぎたおなご、を捨てとったんじゃあ・・・。
 むごい話よのぉ。」

オラは男の目を見据えつつ、尋ねた・・・。
「親を・・・捨てる?母親を・・・。」

「信じる信じないは芳蔵さん、あんたの自由じゃ、じゃがこれはほんとのことじゃ。
二百年ほど昔、ここらが大飢饉に襲われての・・・若い者は生き残った・・・が年寄りは
死ぬ率が高かった、最初は遺体を運んできたんじゃ・・・しかし生きてるうちはメシを喰うわな。
死ぬ率が高い者にメシをやるなら、若い者にやった方がいいじゃろう・・・と。」

「なんで、母親だけ・・・?」

「わからん、ここらを治める殿様が言い出したんじゃ・・・なんでもその殿様は継子いじめをされたらしいから
 その恨みかもな・・・とにかくひどい話じゃ。で、その頃の名残でこの山は女捨山、と呼ばれておる。」

「めすてやま・・・初めて聞いた・・・。」

「そりゃ、そんな話を子供に語って聞かせる親はおらんし聞かなければ次第に
 皆、忘れてゆく。この辺の者でも知っとるのは少なくなったのぉ・・・。」

395: 名無しのオプ 2003/11/11 03:44:00
「そういえば・・・あんた、オラが探してるの、男か女か聞いたな・・・何でじゃ?」

「ん?・・・そうじゃったかの?」
男は赤い顔でそう答えた。
「何か・・・まだ知っとる事があるんじゃろ?教えてくれ、オラはどうしても
 その子を探して帰らんといけんのじゃ!」

「ふむ・・・訳ありなのは判ったが・・・ま、とりあえず朝まで待ってくれ、夜中
 じゃ動きようが無い、の?」

オラは悶々としつつどぶろくを呷った・・・・・。

396: 名無しのオプ 2003/11/11 04:01:00
翌朝、男はオラを起こした・・・いつの間にか眠っとったようじゃ・・・。

「芳蔵さん、起きたか?まだねぼけとるの。まあ、ええわい。昨夜の話の続きじゃが・・・。」
「う、うん・・・続けてくれ。早く。」
「もっと詳しく話してくれる者に逢わせてやろう、思うんじゃが・・・。」
「そ、その人はどこにおるんじゃ?」
「ま、表に出てくれんか、とりあえず・・・。」

オラは表に飛び出た・・・家の前に木の桶が三つある・・・何じゃ?

「すまんがのぉ・・・これ、飲んでくれんか?飲んだら逢わせるから・・・。」
「これって・・・何じゃ?」
どう見ても飲み物には見えん・・・もしかして・・・昨日の馬を洗ったときの・・・。
「一応、戒め、何じゃ・・・今から聞くことを親・兄弟・他人の三つに話さない、という事を約束
 させる為にの。ここら辺では飲む事が辛い物を、飲ませるんじゃ・・・。」

(本当かの・・・・・?からかわれとるんじゃないか・・・・・?)

「疑うなら話は無し、じゃ。」

「わかった、わかったわかった。飲んだら逢わせてくれるんじゃな?必ずじゃぞ。ゴクゴクゴク・・・・・。」
(まったく・・・世の中は広い、それはいいが・・・清がこんな目に遭えばいいのに・・・。)

「おおっ、飲んだのぉ・・・この山道を真っ直ぐ行けば炭焼き小屋が見えてくる、そこにいる木こりに
 「水、飲んできた」と言えば、芳蔵さんの知りたい事を教えてくれるはず、じゃ。

・・・はず、というのが気になったが・・・しょうがない、行くとするか。
今日で何日目だろうか?なんだか村に帰りたくなってきた・・・・・。

397: 名無しのオプ 2003/11/11 04:15:00
何里ほど歩いたのだろう・・・・・確かに炭焼き小屋が見えてきた・・・。
表で誰かが薪を割っている。オラは話し掛けた・・・。

「あのぉ・・・すまんがのぉ、水を飲んで・・・来たんじゃが・・・。」
男はこちらを見ると「・・・水?珍しい・・・付いて来い。」とだけ言った。

オラはこの男に自分が探し人をしている事を告げた・・・男は無反応じゃった。
オラの嫌な予感通り小屋の裏手には・・・牛がいた。
案の定、オラの目の前には三杯の牛の洗い水・・・。
「飲め、理由は弟から聞いたはず。さあ。早く。」

何じゃ・・・兄弟でこんな爺いに・・・。ひどい奴らじゃ・・・。

「飲めば教える、飲まぬのなら帰れ。」

もうヤケだ!ゴキュゴキュゴキュ・・・・・。
「ん、いい飲みっぷりだ。教えてやる。教えてやるが・・・・・絶対に他言はするなよ。」
「ゲプッ・・・判っている・・・ガフッ。」
「この女捨山には大きな滝がある、その滝の向こうに女人だけの村がある。
 お前の探すおなごはおそらくそこにおる・・・しかし・・・。」

しかし・・・?なんじゃ?

「出来れば行かぬ方がいい・・・お前は。」
「滝じゃな・・・・・待っとれ、鈴、すぐに行くからな。」
オラは男の独り言のような忠告など無視して、滝の音のする方を探しながら
山を探索し始めた・・・・・。


 

405: 名無しのオプ 2003/11/13 00:18:00
山を歩く事半日ついに芳蔵は「ド、ド、ド・・・。」という水音を聞き、一目散に
そちらへ向かった・・・「やっと、やっと、連れ戻せる・・・。」

藪を抜けると目の前に大きな滝が現れた、呼吸を整えつつ見やるとその水は大きな淵に落ち込んでいた。

「何だか、気味悪ぃな・・・いや、早くせにゃ。」

己を奮い立たせると芳蔵は滝に近づき、そして「あっ」と声を上げた。

水流のせいで正面からは見えなかったが近づくと、確かに裏側に洞穴があった。

「ここに、おるんじゃな・・・しかし、こんなところがあったとは。」

呟きつつ芳蔵は水飛沫でずぶ濡れになりつつ洞穴へ入っていった・・・。

406: 名無しのオプ 2003/11/13 00:30:00
・・・もう三十年も昔になるじゃろう、ワシが先代の村長からこの役を引き受けたのは・・・。

最初はそんな馬鹿な事が・・・と驚いたが、確かに思い当たる事はあった・・・。

ワシの友達は、とは言っても皆、年老いて死んでしまったが、思い出すと・・・
せんた・しんきち・たけぞう・さのすけ・ごろう・・・皆、いいやつじゃった・・・。

そういえば、芳蔵はちゃんと鈴を見つけたんじゃろうか?

村のおなごは村の中におるのがええんじゃ・・・。

ワシももう歳じゃ、次の村長は誰にしようか・・・清がええかのぉ。

ふう、歳は取りたくないものじゃ、さっきの事でもすぐに忘れる。余計な事は次々に浮かぶ。

さて、村長の役目を忘れんうちに紙にでも書いておこうか・・・。

407: 名無しのオプ 2003/11/13 00:40:00
洞穴はかなり大きく歩くのには不自由は無かった。

暗い道を横の壁に手を遣りつつ芳蔵は歩いた、「待っとれ、鈴。」

暗い暗い道を抜けると・・・突然広い所へ出た。どうなっているのかは判らないが
明るく、周りは大きな円になっており、その周囲にはところどころ洞穴が空いていた。

「誰も・・・おらんのか?しかし、これは・・・地の中か?いや、明るいな、おてんとさまがどこかから
 差し込んでおるんじゃろうか・・・。」

その時、洞穴から誰かが出てきた・・・こちらを見て、驚きそして呟く・・・。


      「おじいさ・・・ん?」

408: 名無しのオプ 2003/11/13 00:50:00
少し遅れて、もう一人出てくる・・・。

「鈴ちゃん、待ってよ・・・あんたは、誰?しかも、お、男が何で・・・?」

慌てて芳蔵はこう言った。

「オ、オラは怪しいもんじゃねえよ、そ、そこの鈴の育ての親じゃ・・・。」

「本当?」「う、うん。おじいさん、なんだ。」「そっか・・・ま、詳しい話を聞かないとな、とりあえず
・・・ここの長老の所へ行ってもらうか・・・。」「ちょうろう・・・?」「そう、長老。」

(何をコソコソ話しておるんじゃ?まさか、帰らないなんて言わんじゃろうな・・・。)

鈴ともう一人の女が芳蔵に近づき・・・「すまんけど、長老の所へ来てくれんか?
案内するから・・・。」と言った。

長老・・・やれやれまだ先は長そうじゃ・・・いつになったら
連れ戻せるのやら・・・芳蔵はわが身を嘆いた。

409: 名無しのオプ 2003/11/13 00:54:00
おじいさんがきた。  もうあうことはないとおもってたのに。

つれもどしにきたんだろうか?  ここのくらしになれたのに。

おねえちゃんはやさしいし。  ともだちもできたのに。

むらおさのところのおんなのこもともだちだけどここにも
かえで・つばき・きく・ゆり・ふじ・・・きれいななまえのともだちが
たくさんいるのに。

あたしはむらにかえらなきゃいけなくなるのかな?


おじいさんといっしょに。

410: 名無しのオプ 2003/11/13 01:04:00
「・・・・・大体の話は判りました、で、そちらは鈴をどうしたいのです・・・?」

「どう・・・って、村に連れ戻しますじゃ、そうせにゃオラ達は村八分になるで・・・。」

「連れ戻す・・・ここから?、ふむ。」

「いかんのですか?オラは鈴を生まれた時から可愛がって育ててきたのに・・・。」

「いけない、とは言いませぬが、前例が無いもので・・・しかもあなたは
 あちらの山に住んでる方でしょう?」

「し、しかし・・・。」

「まあ、今日の所は久しぶりに鈴ちゃんと逢えたのですから、ゆっくりして下され。
 話はまた、明日・・・。」

「そ、そんな・・・。」

「それでは、芳蔵さんの部屋、用意してあげて下さい・・・。」

長老はそう言い残すと奥へ引っ込んでしまった・・・。

「さ、芳蔵さん、こちらへ・・・。」

「へ・・・へぃ。」

長老は自分の部屋へ入ると・・・「あの村も変わったのか・・・わざわざここまで
おなごを探しに来るものがおろうとは・・・。」と一人ごちた。

411: 名無しのオプ 2003/11/13 01:13:00
「・・・今晩は、こちらで寝て下さい。食事は後ほど持ってきますので・・・。
 鈴ちゃんも今晩はここで寝てね。」

「え・・・・・う、うん。わかった、おねえちゃん。」

女は出て行った、芳蔵がゆっくりと口を開く・・・。
「鈴・・・探したぞぉ、なんでいなくなったんじゃ?オラが嫌いかぁ?」
「・・・・・。」
「答えられんのかぁ・・・?」
「・・・・・。」
「みんなが待っておるぞぉ・・・。」
「・・・み、みんなが・・・。」


「食事をお持ちしました・・・ん?どうしたの。顔が真っ青よ・・・。」
「な、なんでも・・・無いですじゃ。の、のぉ、鈴?」
「う、うん。な、なんでもないよ、だいじょうぶ、だよ。おねえちゃん。」
「そう・・・ならいいけど。ごゆっくり、芳蔵さん・・・。」



「・・・行ったか・・・まったく驚かせやがって・・・。」
芳蔵は忌々しげにそう言うと運ばれてきた食事にむさぼりついた。
「メシ喰い終わったら・・・鈴。わかっとるな?前と同じ事をするんじゃぞ。」

412: 名無しのオプ 2003/11/13 01:33:00
私がここに来てもう数十年にもなる。

ここを知ったのは、そうあの大飢饉の年だった。

私はどんな日照りにも耐え、少ない水でもたくさんの米が取れる稲を
ここらに植えるために初めてこの地を踏んだのだった。

その稲はここらの土地に合ってよく育ち、私の役目は案外早く終わった。

元々、勉学は嫌いでは無かった私はここらの伝承に興味を持ち、ここに住む事にした。

そして、ここに来た時からずっと感じていた違和感の正体を探る事にした。

・・・・・私は最初はあちらの山にある村にいた。

違和感の核心に近づくにつれ、私はあちらの村にいるのが嫌になり
こちらの山、女捨山に移って来た。その頃はこちらの山にも村があった。
この滝の裏側で暮らしているのはその村の人達だ。

私はこの外界から遮断された地を見つけたときに迷わずそのころの長老を説得し
ここへ皆を移住させた。

もう古い古い話だ・・・。

鈴を探しに来たあの男・・・・・あの村の呪縛を受けているのか?それとも・・・。

413: 名無しのオプ 2003/11/13 01:38:00
おじいさんは おじいさん だった。

ぜんぜん かわっていない どうして こんなことをする のだろう?

みんなも あたしを また おんなじめにあわせるつもりなのだろうか?

むらおささまのところにいるおんなのこも

おんなじめにあっているのだろう。

いやだいやだ こんなめにあいたくないから でたのに。

そとにはきっとしあわせが ある とおもって でたのに。

あんまりだ・・・おねえちゃん・・・。

414: 名無しのオプ 2003/11/13 01:42:00
「・・・長老様!大変です・・・鈴が・・・鈴が・・・。」

「・・・やはり・・・で、鈴は?」

「怪我を少し・・・手当ては終わりました。」

「・・・芳蔵さんは?」

「・・・・・亡くなりました、どういたしましょうか?」

「・・・仕方ありませんね、男手がいるでしょう、あの二人をお呼びなさい。
 まったく、あの者達がここを教えねば・・・早くしなさい。」

「は・・・はい。」

415: 名無しのオプ 2003/11/13 01:47:00
オラは・・・どう、なるんじゃあ?
身体が・・・冷えてきた。

血が、止まらん・・・死ぬんか・・・。
鈴・・・鈴よぉ、今までと同じ事をさせただけなのに・・・。

これまでのお前なら・・・嫌がりはしても、ちゃんとオラの言う事を
聞いとったのに・・・。

婆さん・・・帰れんようになってしもうたぁ・・・村八分にさせて・・・すまん。

村長も・・・清も・・・村の皆がオラと同じ事・・・しとるのに・・・。

・・・ああ、目の、前・・・が・・・く、ら・・・・・く・・・。

416: 名無しのオプ 2003/11/13 02:00:00
「お呼びですかぁ・・・長老様ぁ。」
「我ら二人を呼ぶとは・・・芳蔵さんが、何か?」

「死んだよアレ食いちぎられて・・・。」

「・・・!?」

「どうしてあの爺さんにここを教えたのさ?まったく、馬鹿兄弟・・・。」

「・・・ふう、我らとてあそこの村の秘密を知らぬ訳では無い、が・・・。」

「なら、何で教えたのさ!その所為で・・・鈴は怪我するし、酷い目にあったせいで
 正気を失ってるんだぞ・・・。」

「すまんかった・・・しかし・・・。」

「もうそれぐらいにしなさい、起きたことはしょうがありません。
 とりあえず芳蔵さんはあちらに返しましょう。あなた達も出はあちらの
 村なのですから、あなた達が返しに行けば大きな禍根は残さないでしょう。」

「・・・では、明け方、すぐにでも行って参ります・・・。」

417: 名無しのオプ 2003/11/13 02:12:00
ある日、俺は村長に呼ばれた。
「何でしょうか?村長様。」

「おお、清か、こっちゃ来い。」

「はっ・・・。」

「実はな、お前を次の村長にしようと思ってな・・・。」

「お、俺をですか?」

「そうじゃ、で、お前に村長の役割をしたためた紙を渡そうと思って呼んだんじゃ。」

「村長の・・・役割?」

「そうじゃ、知っての通りこの村では、男しか生まれん。おなごが生まれても殆ど死んでしまう・・・。」

「女捨山に捨てられた女達が自分達のような目に遭わせたくない、と嘆いているから・・・でしたね。」

「そうじゃ、怨念ちうもんは恐ろしいのぉ。」

「村長の役目、とは村を発展させる事じゃ・・・判るの・・・?」

「へ・・・へぇ。判ります。」

「そのさせ方・・・をこの紙に書いとる。受け取れ。」

「へ・・・へぇ、ありがたくいただきます・・・。」

418: 名無しのオプ 2003/11/13 02:32:00
・・・とうとう、こんなことが起こったか・・・。

あちらの山の村では「怨念」の所為で男しか生まれなくなった、などと
考えてるようだが・・・それは違う。

向こうの山の水は「あるかり」というものが多く含まれておる、その為に
近くに住む者達には「殆ど男しか生まれない」という影響が出るのだ。

蘭学を学んだ私がいくら向こうの山の人達にそう問いても返ってくるのは
「怨念」「祟り」といった言葉だけしかも彼らは「男しか生まれない」という事に
まで目をつけ跡取のいない武家に高額で融通もしているらしい・・・。

世継ぎの証、などは捏造がいくらでも出来る、ということか・・・。

その上、「女捨山」などというものが隣にあったのあの村を栄えさせる元になった。

その名を知ってか知らずか今でも捨て子が多く、その殆どは女の子なのだ・・・。
私達と共に住み、鈴と仲良くなった子供たちは全員、女捨山の捨て子。
あちらの山の村に住んでいる女の子達も全員、女捨山の捨て子。

つまり、両方の村が女の子の取り合いをここ数十年続けているのだ・・・。

419: 名無しのオプ 2003/11/13 02:50:00
「・・・そうか、だから村長は鈴を連れ戻せ、とやけに芳蔵に言っておったのか・・・。」
清は村長のくれた紙に目を通しそう呟いた。

(しかし・・・女捨山に捨てられた赤子を拾ってきて育て、その子達をこの村の男が好きにする・・・
 これを知ったときも驚いたが、まさかこの村の男の子をお武家に融通しているとは・・・驚いた。
 今の村長もこの裏の商売を知った時は驚いただろう・・・。世間に知られたら一大事だ、鈴はまだ子供だが
 誰に何を話すか判らんしな・・・。)

この村は、俺が生まれるずっと前からそうだった。
女は村の外、からやって来て一生をここで暮らす。

帰る所は無い・・・俺のお袋も、捨て子だったのだろう。
この村は飢饉の心配は無いが、他の村じゃそうはいかない、少しでも
生き延びさせる為に向こうの山へ捨てる・・・こちらが拾うか、あちらが拾うか・・・。

それとも、死ぬか。あちらに拾われれば、男を知らずに生きねばならん。
こちらに拾われれば芳蔵みたいな奴に酷い目に遭わされる事もある・・・。

・・・まあ、死ぬよりはマシかも知れんが。

420: 名無しのオプ 2003/11/13 02:58:00
お爺さんが鈴を探しに行ってから、一月・・・。

どこでどうしておるのだろう?

あの子がここに来たのは10年も前じゃ・・・。

深深と雪の降る寒い日じゃった・・・。

か細く、しかし綺麗な声をしとったので「鈴」と名づけた。

まだ五つぐらいの子供じゃった・・・。

三年ほど前から、お爺さんは狂ってしまった・・・。
鈴に溺れ始めた・・・。

見て見ぬふり、をした。あの子には可哀想な事をしたわい・・・。
あの子が逃げて正直、ほっとした。

もしも、逃がした、のであればこっちの身が危なくなるし、もうお爺さんのあんな浅ましい
姿は見たくなかったから・・・しかし、帰ってこんのぉ・・・どうしたんじゃろうか?

421: 名無しのオプ 2003/11/13 03:02:00
ただ、そとをみたかっただけなのに。

おじいさんはいつものようにあたしのあたまをおさえつけ・・・。

きづいたときにはくちをとじていた・・・。

おじいさんがわめいていた。

いつからおじいさんはおかしくなってしまったのだろう。

わたしはやまにいる たか のようにつよくはないし
ふくろう のようにかしこくもない

ふつうのそこらにいる すずめ のようなおなごなのに。

ただとんでそとにでたかっただけなのに・・・。

422: 名無しのオプ 2003/11/13 03:07:00
「行って参りました・・・。」
「芳蔵さんはつづらに入れて、置いておきました。」

「ご苦労様、しかし、つづら、とはねぇ・・・。」

「棺桶を用意する間が無かったもので・・・。」
「して長老様・・・あの子の具合は・・・?」

「残念だけど、あのまま・・・かも知れぬな。ただ本人には
 その方がいいかも知れぬ。もともと栄養をあまり与えられていなかったようで
 発育も十分、とは言えぬし現実があまりにも酷だからな。」

「そうですか・・・。ここを教えねば・・・。」

「もう、済んだ事じゃ・・・忘れ、あの子を、鈴を大事にしてやれ
 これから・・・あの子はこの村で暮らすのだから・・・。」

423: 名無しのオプ 2003/11/13 03:22:00
つづら、が二つ届けられた。

大きな方には芳蔵の遺体。
小さな方には芳蔵の男根。

手紙が一通入っておった。

「そちら、とこちらは相容れぬさだめ。今回は偶々こうなった。
 どちらも痛み分けじゃ。そちらが拾えば手は出さぬ、こちらが拾えども
 手を出すな。出せば出したものが・・・こうなるぞ。」

村長、皆を集めてこう言った。
「この事は忘れよ、後は今まで通り、こちらはこちらのやり方で。」

これまで村の一部の者しか知らなかった秘密、それを村長、皆に話し、
「反対するものは去れ。」と言った。

誰も去らなかった、誰も去れなかった。

お婆さんだけ姿を消した。一体どこへ行ったのやら。

結局一つの家族が壊れただけ、だった。

村には何の変わりも無かった。

これが、ほんとの 下切り 鈴 女。

425: 名無しのオプ 2003/11/13 23:01:00
このスレの中では大作、乙!

445: 名無しのオプ 2003/12/15 22:57:00
そろそろ1も戻ってこようよ~

446: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:20:00
じゃ、戻ってみる。

447: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:20:00
俺はなぜあんなことをしてしまったのだろうか。
うなされる日々が続く。
それもこれも、全てあいつのせいだ。
眠れない日々が続く。

また・・・夜が来る・・・

448: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:21:00
昼明かりの中、一人のみすぼらしい男が通りを歩いていた。
足取りはよろよろと、ちょっとしたはずみで転びそうだ。
往来には味噌を売る人、魚を運ぶ人、大道芸に見入る人、
様々にごったがえしていた。
男の足取りでは簡単にぶつかってしまうほどだ。
その中を、男は千鳥足で歩いていた。
酔っぱらい、誰が見てもそうだった。

449: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:21:00
「おっと、ごめんなせぇ」

男はぶつかった人に謝った。
そしてまた、ゆらゆらと歩きはじめた。


町のはずれまで歩くと、男は橋の下へと潜った。



ボロボロの小屋があった。
中には、小屋以上に粗末な服に身を包んだ若い女がいた。
女は腹が膨れている。
孕んでいるのだ。

450: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:21:00
「ほら、今日の稼ぎだ」
男はそう言って、懐から巾着を六つ、放り投げる。
それらは、じゃら、と音をたてて地面に落ちた。

「すまないね、おまえさん・・・」
女は小銭を数えながらつぶやくように言葉をかけた。


スリ、それが男の仕事だ。
スられる方が悪いのだ、それが男の言い分だった。
女もそれを重々承知している。


外は雨が降り出したようだ。
二人は身を寄せ合いながら、床についた。
雨の音だけがこの夫婦を包み込んだ。

451: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:26:00
あくる日。
男はいつものように通りを歩いていた。

(あいつのためにも、稼ぎを多くしてやんないとな。
 生まれてくる子には何て名前を付けようか・・・)

そんなことを考えながら、仕事をしていた。
狙いを定め、通行人にぶつかり、手に盗った巾着を袖に隠して、また歩き始める。

452: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:26:00
考え事をしていたせいか、
後ろから付いてくる影には気付かなかった。
袖に隠した巾着が四つになった途端、男の頭に衝撃が走った。
役人が男を後ろから殴ったのだ。


気絶した男に縄をかけると、役人は呼子を鳴らす。



数刻後、男は詰め所の中にいた。

453: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:27:00
荒縄を腕に食い込ませて、床に男は転がっていた。
取り調べはまだだ。
詰め所の中には数人の役人がおり、
そのうちの一人が水を桶に入れて持ってきた。
それを男目がけてぶっかける。

男は目を覚ました。


(しまった・・・捕まっちまったのか・・・)


男はぼんやりした頭で思った。

454: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:28:00
次第にはっきりする意識の中、後頭部に痛みが戻る。
頭を抱えようとするが、腕がうまく動かない。
後ろでに縛られていることに、ようやく気付く。


(取り調べが始まるんだな・・・)

どれだけ恐ろしい刑罰になるのか。
考えただけでも震えてしまうほどだ。



ふと、外から声が聞こえた。

「火事だ!」
 

455: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:28:00
どうやら付近で火事が起こったらしい。
男は、(しめた!)と思った。

所狭しと立ち並ぶ木造住宅ではたちどころに火が広まってしまう。
住民総出で火を消すのが慣わしだ。
今もまた、例外ではなかった。


役人は手に手に桶や鍋を持って外へ飛び出していく。
井戸に向かったのだろう。

男は誰もいなくなった詰め所の中で、
袖から短刀をどうにか取り出し、縄を切り始めた。
以前に盗んだ金で手に入れたものだが、
ひょうんな所で役に立つものだ。

456: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:29:00
縄を切り終わると、男は裏口へと向かった。
表から出ると、役人に見つかる恐れがある、そう思ったからだ。

しかし、その考えが浅はかなものであることを知ることになった。

役人がいたのだ。

どうやら、厨で水を汲めるものを探していたらしいが・・・

役人は懐から呼子を取り出した。


(鳴らされては捕まってしまう!)

男は手にした短刀で飛びかかった。
役人は抵抗する間もなく、喉を切られて倒れた。

ドサッ、という音が外から聞こえる叫声に紛れる。



誰にも見られなかったことを確認すると、男は外へと逃げ出した。

457: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:30:00
家へたどり着くまでのことはよく覚えていない。
人から金を盗んだことは数知れないが、
人を殺したのは初めてだった。


きっとすぐに似顔絵が作られて、この家もつき当てられてしまうだろう・・・


男は隣りに女房がいることも忘れて、恐怖に身を震えさせた。

458: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:30:00
すぐに男は一つの考えにたどり着いた。

「逃げよう!」

そう叫ぶとすぐに、女を外へと追い出すと、
家にあった金を持って町へと歩き出した。
道中の食料を買うためだ。
女にひもじい思いをさせるわけにもいかない・・・

459: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:30:00
人とすれ違うたびに男は隠れるようにして早歩きになり、
女はそれについていくのに足を早めた。
女はお腹の子を気遣いながら、男に逃げる理由を尋ねた。

「お前は知らなくていい」

それが男の返事だった。

何度聴いても同じ答えしか返ってこない。
女はだんだんと苛ついてきたが、怒ったところでどうしようもない。
男の顔も強張って、今にも腕が飛んできそうだったこともある。
どうにか気持ちを抑えて、静かに聴いた。

「どこに行くの?」

「できるだけ遠くに」


男は、もう何も聴くな、とだけ言うと、店へと入っていった。

460: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:31:00
旅支度を済ませ、二人は町のはずれへと急いだ。


(余所へ行くなら旅団に入るのがいいのだろうが、
 恐らく既に抑えられているだろう。
 やはり、歩くしかない)


男はそう思った。

461: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:33:00
郊外に出る寸前だった。
呼子の音があたりに響いた。

(見つかった!)

男は周囲を見回すと、往来の中で呼子を持つ役人を見つけた。


(殺すか・・・いや、逃げた方がいい・・・)

すばやく考えると、女の手を引いて走りだした。
ここから近くに森がある。
そこまで逃げれば、追ってをまけるはずだ・・・


役人は距離を保ちながら追いかけてくる。
相手は既に人を殺しているのだ。
一対二では分が悪い。
仲間が来た時に位地がわかるようにだろう。
時々呼子を吹くのは忘れない。

462: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:35:00
森が見えたとき、役人は少し焦った様子で急ぎだした。
男と女は森へと入っていった。

しかし、孕んだ女の足では、森の中を歩くのは辛い。
夕方の森は薄暗く、遠くまで見渡すこともできない。
女はもう歩くのが精一杯な様子で荒い息を吐き出している。


(こいつがいなければもっと速く逃げられるのに)

男は苦々しく女を見ながら額の汗をぬぐった。

463: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:36:00
呼子の音がかすかに聞こえる。
森の中では音が吸収されて、音は遠くまで聞こえないはずだ。
それならば、聞こえるよりも近くに役人が迫っている・・・

男は焦った。


女を引きずるようにして森の中を走りだした。
どれだけ走っただろうか。
次第に、水の音が聞こえてきた。


川が近いのだろうか・・・
小さい川なら渉ることができる。
しかし、大きければ・・・俺はともかくこいつは・・・


夜の森がうっすらと開けているのが見えた。
呼子の音も、すぐそこまで迫っている。
後ろを振り返る余裕もなく走ってきたのだ。
川を渡るしかない。
男は川が渡れることを祈って森を抜けた。

464: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:36:00
目の前には、川があった。
昨夜まで続いた雨で増水した川だ。
すでに空は白んでおり、夜明けが近い。

(渡らなくては・・・)

脅迫めいた考えだけが男の頭にあった。


二人は流れの速い川に足を踏み出した。
女が流されないように、男は後ろから女を支えた。
川の底の石はすべりやすく、今にも足を踏み外しそうだ。

465: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:37:00
腰まで浸かるほど進んだ時、後ろから声が聞こえた。

「いたぞ! こっちだ!」


(見つかった!)

男は頭が真っ白になった。


(急がないと、急がないと捕まってしまう!)


「速く歩け!」

男は喚きながら女の背を押した。

466: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:38:00
次の瞬間、女が視界から消えた。
男はわけがわからず唖然とした。
川の深みに落ちてしまったのだ。
女はただ、川に翻弄されて流されていく。

男は女が流されてしまったことを悲しむよりも、
逃げ足が速くなったことを喜んだ。

467: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:38:00
気がつけば、夜は明けていた。

468: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:38:00
数日後、男は別の町にいた。
相変わらず橋の下で過ごしていた。
だが、頬は痩け、その目は虚ろだった。
毎晩うなされ続けているのだ。

夢の中に出てくる女。
童歌を歌いながら出てくる女。
その手には、血塗れの赤子を抱えて・・・

469: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/15 23:39:00
かごめ かごめ
籠の中の鳥は
いついつ出やる
つるとかめがつぅべった
後ろの正面だぁれ・・・

474: 1 ◆/4.7OGB.Lw 2003/12/16 21:59:00
この、かごめかごめ。
どうやら、色々と歌詞が変わってきているようで。
特に「つぅべった」の部分。
これは、「すぅべった」と覚えている方も多いはず。

物語の中では、「つっぺる」、「つっぱいる」の意味で用いています。
Google検索してみればどちらでもヒットするわけですが、
水の中に落ちる、という意味があるわけです。
今では方言に残すだけになっていますが、
昔の文献にきちんと、「つぅぺった」と表記されているそうです。

また、鶴と亀、の部分も非常に面白く、
こちらはご自分で調べてみた方が面白いと思います。

調べれば調べるほど恐ろしく、また非常に興味深い歌でしたが、
私なりに解釈させていただきました。

昔話だけでなく、日本の童歌もまた、ミステリー要素が強いように思います。
一つ、謎を紐解いてみてはいかがでしょうか・・・






怖い絵
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